2話 ページ2
「最近､アッくんとはどうなんだよ
もう随分会ってないって愚痴こぼしてたやつ」
アッくんと日比谷は意外や意外に高校で出会ってから未だに付き合ってないらしい
カップル成立秒読みという噂に
苦虫を潰した様な気持ちで胸中では悔しがってた俺から言わせると
側から見たら実質カップルみたいに二人でいるのを幾度となく見ていた｡
俺とは違う空気感が2人の間には存在していて､じんわりと恋に気づいた俺がつけ入る隙がいつまで経ってもなかった事を
日比谷との2人きりの時間にこうやって思い知らされる｡
『うーん､いつもの事だよ
敦君は今が力の入れどころだからね…かく言う私も組合の活動が勢い付いちゃって』
「お前ら仕事人間すぎだろ…結婚願望とかねぇわけ?」
本人達に聞いても「付き合ってない」と､毎回おんなじ返事が来ることに
安堵よりも心配の方が優ってきた
『…したいけど､今じゃない』
「それ生き遅れのテンプレ」
『うるさい､松野はそんなんだから彼女できないのよ』
「…は､お前に俺の何がわかんだよ」
日比谷にそう言われて胸が痛む俺の気持ちなんて
お前はどこ吹く風の様に気にしてないんだからな｡
『うーん､一言多くて気遣いが空回っちゃうとことか?』
「うるせ」
『はいはい､図星だとボキャ貧になるとこも追加でね』
「…うるせぇ」
そんなに俺の事を理解してくれんなら
全部､俺に寄りかかってくれたらいいのに｡
言葉が出ねぇのは余計なこと言って逃げられるのが怖いだけで
昔から気の効かねぇ事ばっかしか言えねぇ｡
『…好きなんだよね､きっと』
「は」
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作者名：graybear | 作成日時：2023年5月7日 22時
