黒歴史とは関わりたくない3【松野千冬】

115話 ページ29

『でも､ちょっとくらい おさんぽ したっていいよね?

稽古の時間以外の外出はダメだなんて

…つまんないよね?』



お仕事がやっと軌道に乗ってきたと喜いつつ

忙しない日々を送ってる旦那に免じて

「なるべく家にいてほしいという」
ワガママを承諾していた


あのとき､やたら必死に見えたけど…

まさか浮気?

にしては､定時で帰るし遅いと絶対連絡入れるし…?



『まぁでも! たまにはね!
働いてるパパをこっそり見に行きたいよね〜』



きっと､お産で体力が低下して
見たこともないくらい弱々しい私を心配した旦那が
過保護になってるだけ



しっかり暑さ対策して､深めの帽子と日傘
私と子供の水分補給さえしてれば全然平気でしょ!


稽古に行く時間は夕方くらいだけど
炎天下の真昼間に家を出る決心をして



鼻歌混じりに身支度をし始めるのだった



.



『ひー､あっついあっつい』



ベビーカーを押しながら項垂れる私と上機嫌な我が子

さっき水飲んだばかりだけど
そんなのは汗で全部出ちゃってるよってくらい暑い!!


次の信号でまた水分補給だ


『でも､順調 順調! もしかして､お昼休みに会えたりして…』



クスクスと小さく笑う私



なんて充実しているんだろう



夏の日差しは刺すように痛いのに
日の元で散歩するのは気持ちがいい



今日は何だかいい日になりそうかも

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