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お墓参りを開始した14時頃から1時間以上経過しているため少し暑さのピークは収まるなか
この場の険悪なムードの熱量は
未だ収まるところを知らない。
「Aを拉致って俺らのこと誘き出そうったって
そうは行かねぇ!
卑怯な手ぇ使うならこっちは本気で潰しにいくぜ
たとえマイキーの家族でもな!」
心無しか来たときよりも人が増えてきてい、
この状況は非常にマズイ…
悪目立ちだ。
「うるせぇ犬っころだな。
一体、何匹いんだよAの番犬は」
いがみ合う二人をどうにかこうにか鎮まらせたいけど
静かに冷や汗をかきながら話を聞く外ない
と思いつつも
『圭介兄が番犬…私なんかじゃ手懐けられませんし
手に負えませんよ』
さすがのツッコミどころに怖さよりも先に
口が動いてしまった。
「…おい、なんなんだよ。
さっきからAそんな怖がってねぇじゃん」
『だから! イザナさんは私のお墓参りに
付き合ってくれたの!
むしろ、圭介兄が来ることによる冷戦みたいな
この雰囲気の方が怖いんだけど?』
「んだそれ、話しが違ぇじゃねぇか。
A巻き込んで何か企んでんじゃねぇのかよ…」
ようやく大袈裟な勘違いをしていたことに対して
理解を示しはじめた圭介兄。
話って、誰にも出かける予定とか言ってないのに
誰からどういう吹聴をされたんだか…
「そう言ってんだろが、ケースケにぃ」
「だったら早く言えや! 骨折り損じゃねぇか!
イザナ、てめぇはその呼び方すんな!」
小さくケタケタと笑みをこぼすイザナさんを横目に
不機嫌オーラ全開の圭介兄。
よくわからない話の行き違いは解決したけど、
会話がこのあと続きそうもない。
むしろ、どちらかというと、
いつ殴り合いが勃発してもおかしくない状況である。
なんとなく気まずいので場の空気を変えるため
さっき思った疑問を投げかけてみた。
『それにしても、お盆中は宿題や課題でてんてこ舞いだから千冬君達と頑張るって、私のお墓参りの付き添い断った圭介兄がなんでここに?』
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作者名:graybear | 作成日時:2024年1月11日 21時