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この場に非常識トリオがいるということは
一虎さんは恐ろしいことに犠牲になったか､
愚かなことに敵前逃亡をしてしまったのであろう｡
圭介兄からの
この事態の打開策に頭を捻り続ける｡
「ごめん､Aちゃん!
流石に学校の敷居跨ぐのまでは
止めらんなかったけど!
クラスの仕事抜けられるように
手ぇ回しといた!!」
屍のような目をしている
私の視界は少しやつれた一虎さんを
捉えた｡
『一虎さん!? 無事だったんですね!
いやこれはストレスによる幻か…怨霊?』
「ちょっと何のことか分かんねぇけど!とりあえずなんでもいいから! その茶漬けは置いて! 行くよ!
Aちゃんの彼氏もどき達が時間稼いでるから!!」
一虎さんは私の手を引き
颯爽と人の波へと誘っていく｡
怒涛の展開についていけないけど
ひとまず分かる事といえば
一虎さんは珍しく
イイ仕事をしてくれたらしい｡
.
「いったん､此処で身を潜めよ」
一走り終えて息を整える｡
学校用具や資材置き場となっている
空き教室なのでおそらく人は来ないだろう｡
安心した気持ちからか､
2人とも肘から崩れるように
しゃがみ込んだ｡
『一虎さん､さっきの彼氏もどきとは?』
「三ツ谷と千冬
あと横浜の天竺総長?
マイキーの兄貴って奴??」
またもその三人に迷惑が及んだか…
『三ツ谷さんと千冬君は否応無しに
私のお相手をしているだけですので､
私がなんかが“もどき”呼ばわりなんて
失礼に当たりますよ｡
イザナさんは､きっと興味本位でしょう…』
息を整えるのと同時にため息を出しながら
答える私に一虎さんのパチリと見開いた目が
コチラを真っ直ぐと射抜く｡
「ふーん､案外ちゃんと向き合ってんだね」
『…えと?』
どうにも語弊というか誤解が滲み出る一言に
私は目を丸くする｡
「いや､ごめん｡
場地の口ぶりだと､Aちゃんの行動が
不誠実に聞こえてさ｡
誰と付き合うか選べなくてどっち付かずな
関係を望んでいるって感じで
意外とフッ軽なんだなって思ってたけど
違ぇみたい」
また圭介兄はテキトーな言い回しをしたんだね｡
『これにはちょっとした事情があるんです｡
それに私はそんな軽い気持ちで
相手を探しているワケではないので…』
「えー､それでも良かったのに!!
Aちゃんの気持ち次第では
俺も彼氏候補になってもイイかなって思ったし」
『多方面にいろんな被害が想定されそうなので
ご勘弁願います』
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作者名：graybear | 作成日時：2024年1月11日 21時
