検索窓
今日:11 hit、昨日:16 hit、合計:4,663 hit

ページ ページ14

「ま、1番ショック受けてたのは
マイキーとタケミっちなんだけど」

『? そうなの?』

「あぁ、2人して何でかボロボロになって
タケミチは“もうやめましょう”とか言って、
マイキーはひたすら“ごめん”って泣き続けて
Aから離れようとしなかった」


『何それ…飛行機の事故なんだから
2人のせいじゃないのに』


「でも、タケミチ君のこと、なんだかわかる気がする。

たまに、びっくりするくらい心配してる時があるの…
こっちの方が心配になるくらの心配性というか」

「おっ、ヒナが惚気た!」

「え!? ち、違うよ! そう言うことじゃなくて!」

「いいよね〜。
それって“幸せな悩み”っていうんだぞ?」

『うん、確かに。 ヒナちゃんの場合はタケミチ君からの愛が強いよね!』

「エマちゃんにAちゃんまで…
千咒ちゃんが変なこと言うから!」

「ごめんごめん、なんか可愛くってついな!」

「もぅ…!」


そう言って膨らむヒナちゃんの頬。
実に可愛いことこの上ない。


こんなに可愛い子が武道君の彼女だなんて、
いつもそう思ってしまう。

でも、どうしてだろう。

一見、不釣り合いに見える2人の恋路は
「運命的な相手なんだな」の一言で腑に落ちる。


『ヒナちゃんの方がよっぽど素敵な運命だよ』


ぽつり、呟きは黄色い声に隠れ誰に届くでもなく。

目の前のお菓子を一口放り込んで咀嚼し
飲み込んだのだった。


▼“小学校3年生の和泉Aは飛行機事故に遭い、
5年もの歳月を目覚める事なく病床で過ごした”

最悪な世界を知る2人の少年は
“Aが事故に遭わない”世界を望んだ。

幸い彼女は早期に目を覚まし、
彼女の父親が医療費に追われ過労死する未来を
回避できたものの、それでも代償は大きかった。

母親の死と私生活に支障のない程度の記憶障がい。

幾度も方法を尽くして試しても過去には戻れず、
奔走する彼らのリベンジは完璧にはできなかった。

次ページ→←余談



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (16 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
48人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:graybear | 作成日時:2024年1月11日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。