余談 ページ13
夏休みも残すところ1週間､
という頃に女子会は開かれた｡
お兄さんが家を空ける(追い出したとも言う)との事で千咒のお家でお泊りをしている｡
この前のイザナさんとのお墓参りについて
エマからの白状申し立てと千咒＆ヒナちゃんの
好奇心がさんざめくキラキラおめめに押され､
最近の出来事を軽く説明した｡
「じゃあ､イザナさんとは昔に知り合ってたんだね!」
『失礼な話だけど､私が覚えてなくて…』
「なんだか運命みたいだね〜」と可愛らしく
両頬に手を置いてうっとり顔を覗かせるヒナちゃんに対して､私は気まずく苦笑いを返すのだった｡
「無理もねぇよ｡
名前)はあの時すっごい心配するくらい
重症だったんだから」
「そうだよね､ウチも千咒も
毎日 お見舞い行ってたの今でも覚えてる」
2人の表情は思いの外深刻そうでは無いが
私と視線が合わない所から察するに
いくら思い出だとしても中々にタブー感は否めない｡
「朔太郎さんなんて泣きっぱなしだったし､
生傷みたいになるまで擦りすぎた泣き跡してて
色んな意味で痛々しかったなぁ…
子供ながらに深刻さはかなり感じていたよ」
『いやそれ､お父さんは通常運転だよね』
「ううん､A｡
あれは笑い話にならないくらい酷かったよ｡
おじさんの体から全水分抜けたの?ってくらい
痩せこけちゃってて､今まで見てきた中でも
1番最悪の状態だったんだよ」
『な､なんかごめん｡
その時の記憶って､やっぱり曖昧だったんだね』
なんとか笑い話に発展しないかと試みるも
どうやら軌道修正はムリらしい｡
この重い空気をどうしようものか…
『私はね､この事故のことはちょっと長い睡眠と
ちょっと寂しいお別れ程度に思ってて…
実はそこまで辛いワケじゃなかったの｡
でもそれは､皆の優しさで成り立ってて
振る舞ってくれてたお陰なんだよね｡
今更ながら､ありがとう』
とりあえず私にできる事は
感謝を述べるという事が専決な気がした｡
そうしたら「無事に目を覚ましてくれてありがとう」と言わんばかりの微笑みが返ってきた｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：graybear | 作成日時：2024年1月11日 21時
