殺人鬼に花束を【赤】

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それでも、どんなに惨めでも



『…ただ、愛してただけだった、』

村上「…」

『好きで好きで、仕方がないだけだった…ッ』

村上「……皮肉なもんやな、あんたも…あいつも」



抵抗する気力の無くなった私に気づいたのか、村上さんは私を掴んでいた腕の力を緩める。
そして、少し乱暴に私の頭を撫でた。

彼より少し大きい手のひらが、彼より温かい手のひらに、

私は、胸が苦しくなった。




村上「……もしもし、ヤス？

おん…おん、無事に保護した。後はヨコに任せる。」


安田さんと電話をしながらも、彼は私の頭を撫で続けた。
電話が終わった後も泣きじゃくる私に何も言わないで、ただ力強く抱きしめる。

こんな時、すばるくんなら

きっと困った顔をして、だけど 理由を聞けなくて
ただ、私の涙を拭ってくれるんだろう。


それでも私は、そんな彼が好きだった。



ただ、それだけなのだ。





__すばるくん、すばるくん

心配です、今 どうしてますか

腕は、痛くないですか

痛くて 泣いてはいませんか

もしかして 私を探してくれてるのではないですか

優しい貴方のことだから、きっと自分のことよりも
人のことでいっぱいいっぱいになってはいませんか


…私は、違いました。

自分のことしか考えていませんでした。

どうしたら貴方が苦しまずにすむか、わかっていたのに

なのに、そばにいてほしいという我儘を 言わずにはいられませんでした。



『……ごめんなさい、』



謝って済むなら警察は要らないと、昔 誰かが言っていたけれど

それなら何故、ごめんなさいという言葉は存在するのでしょうか


それはきっと、誰にも許されない自分を許してあげるために、自分だけが許してあげるために有る言葉ではないかと 私は思うのです


だから、ねえ、すばるくん




『…ッごめ、なさ…！』

村上「……。」









私を、許してください





愚かで、浅ましく、卑しい私を


どうか、赦して






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