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「俺な、知ってたんよ。すば.るくんがずっとAんこと好きやったの、知ってた」
『…』
「昨日も…A迎えに行くって聞かなくて。ほんまは俺が行きたかった。俺やってAが好きやって言いたかった。せやけど…言われへんやん」
『…、』
「そんなん、言われへんやん…」
どんな時も、人を殺した時でさえ真っ直ぐだった章ちゃんの声が震えて、私は体の奥底から湧き上がるものに気づいた。
章ちゃんの右手が私の頬を撫で、そして 唇に辿り着く。
「…Aは忘れてもうた?」
『……ぁ、』
「あの日お前にキスしたの、誰やっけ?」
唇を撫でた手が、首元に落ちる。
掴むように触れた冷たい手のひらに 喉がひくついた。
ギラギラ光る目は、まるで獲物を見つけた動物のようで……私は、
『…章ちゃん、』
「……」
『あのね、章ちゃん』
首に添えられた手に力がこもる。
このまま彼に絞め殺されるのも、悪くないなと思った。
……でも、
『…私が大人になったら、章ちゃんが殺してくれるんでしょ?』
「……」
『私まだ、大人じゃないよ』
「……」
『だって、私も』
重ねられた手に指を絡めると、彼の手が小さく動いた。
少し先に無邪気に笑う幼なじみたちがいるのに…やっぱり私たちは穢らわしいのだろう。
罪を共有して、尚且つ
もう一度、罪を犯そうとしている。
『…私も、章ちゃんが好きだから。』
この世で最も美しく、最も最低な罪。
この人を愛することは、それに等しい。
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なっか(プロフ) - ぁぃ岡ちゃんさん» 素敵なコメントありがとうございます(;▽;)サスペンス要素有りと見せかけて内容の薄〜い作品になってしまいましたがそう言ってもらえて嬉しいです…!嘘つきな貴方まで読んで頂いて土下座したい勢いです…(語彙力)また別の作品でもお会いできるように頑張ります! (2018年10月31日 18時) (レス) id: c94037b149 (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃ岡ちゃん(プロフ) - 先ほど、嘘つきな貴方へを読み、本気で号泣して、鼻かみすぎて鼻血まで出しながら(爆笑)一気読みさせて頂きました。お気に入り作者に登録させて頂いたら同じ作者さんで感動してコメントしてます。2個にわたる長文ですみません。更新頑張ってください応援してます (2018年10月27日 20時) (レス) id: e74d3c3c77 (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃ岡ちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!今日この作品を初めて読ませていただきました、この前は夜中にピーターパンの話なんて怖くて読めない!って思ったのですが、今日は朝方から電気つけて布団かぶって本気でドキドキしながら読みました。最後の展開に心持っていかれまくりでした!! (2018年10月27日 20時) (レス) id: e74d3c3c77 (このIDを非表示/違反報告)
なっか(プロフ) - タルヒさん» 元々村上くんが2人を本物の兄妹だとバラす(?)シーンが書きたいが為に出来た過去一重くて短い小説ですが、そう言ってもらえて嬉しい限りです(><)雰囲気小説でしたが、最後まで読んで頂きありがとうございます! (2018年10月26日 4時) (レス) id: c94037b149 (このIDを非表示/違反報告)
なっか(プロフ) - 小恭さん» コメントありがとうございます!!安田くんは初挑戦だったんですけど、安田担の方にそう言ってもらえて嬉しいです…!次回作でもお会いできるよう頑張ります\(^o^)/ (2018年10月26日 3時) (レス) id: c94037b149 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なっか | 作成日時:2018年9月11日 3時