約束事 ページ7
「緑谷」
「轟くん、さっきAちゃんと会ったよ。
それと、コーヒーをどうぞ。」
「ありがとな。そのAは今どこにいる」
渡された缶を受け取り、
轟はオフィスの外を一瞥するが誰の姿もいなかった。
「今日はここに来ないんだって。
でも、事務所のどこかで僕たちのことを見てるらしいよ」
誰にも聞こえないように、緑谷は彼の耳元でこそっと話す
「それと、お昼ご飯一緒に食べるのを誘ってみたんだ」
緊張しているのか
声が少し高揚している緑谷を見て
轟は眉をぴくりと動かした
「そうか
俺は晩飯を誘った。」
緑谷がAと一緒に昼を過ごすと考えると
どうやら轟に謎の勝負心に火がついた。
「そうなんだ。そっちも楽しんできてね」
「？ああ」
緑谷は断じてその気にする為ではなく、ただ報告する意味で言っただけであるのだが。
＿＿＿＿＿
『わたしの、話を聞きたいって？』
「うん、良かったらの話だけど」
個別の休憩室で昼食を摂る二人。
おにぎりを頬に詰め込みながら考え込むA
『どこから話そうかな....』
「ゆっくりでいいよ」
『じゃあ、内浦市のあのときから話すね。』
緑谷が来る前にどうやってヴィランを仕留めたこと、
そして体力尽きて最後の一撃を避けられなかったこと。
『仕方なかったんだよ。
出久くん何も悪くないからそんなに自分を責めないで』
「僕ももっと早く駆けつけていたらそんな事起きなかった筈だよ...んむっ」
落ち込む暇も与えず、Aは彼の口にコロッケを入れた。
『過ぎた事じゃん！大丈夫だって』
「ふぁ、ふぁい。」
安心させるよう彼に微笑んだAは続ける
病院からの消失は予め雇っていた少年に頼んだ計画だったこと。
エンデヴァーもその事を承知していたこと。
「その時、まだ君の怪我がひどかった筈なんじゃ...」
過去の出来事だってわかりつつも、彼は心配をやめられないでいた。
『そうだったね。
あの時は頭が熱くなっていたんだよね、術後まもないっていうのに。あはは』
(そこ笑うとこじゃないよ、Aちゃん)
『良く生きていたよね、本当に。』
「はぁ、」
『いやでもほら、今五体満足じゃん？』
彼に両腕を広げて安否確認させる彼女に、緑谷は頭を横に振る。
「.....これからは、こんな事をしたら駄目だからね。」
「僕と、約束しようよ。」
『.....』
差し出す小指を、彼は小さく絡めとった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 216人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
婪(プロフ) - けんまおし1016さん» すみませんでした！その頃の爆豪くんなら悔しがるのだろうなと私が思ったので、夢主ちゃんがあまりにも平然としたことからちょっと意外！みたいな(汗)違和感ありありでごめんなさい.... (2022年8月18日 20時) (
レス) id: 536d826941 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - 一人の生徒＿＿相澤sideの話しで、相澤先生が「悔しがらないのは意想外だな。」のところって予想外じゃないんですか？または、意外なのではないんですか？間違っていたらすみません、更新頑張ってください！ (2022年8月18日 20時) (レス) @page21 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
婪(プロフ) - あさん» 初コメ頂きました！本当にありがとうございます。頑張っていきますねっ！ (2022年8月18日 12時) (レス) id: 340d5b6869 (このIDを非表示/違反報告)
あ - めっちゃ好きです！いつも更新楽しみにしてます!!これからも応援してますm(*_ _)m (2022年8月17日 13時) (レス) @page19 id: de3275afb2 (このIDを非表示/違反報告)
婪(プロフ) - オリフラ消した筈が立っていたということが申し訳ない… (2022年7月8日 16時) (レス) id: 536d826941 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：婪 | 作成日時：2022年7月8日 16時
