世話の焼ける人。【国木田独歩】

05新人 ページ6

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今日は、先日出会った中島敦くんという少年の入社試験日。何でも彼は無自覚のまま『人食い虎』に変身し、暴れていたらしい。それを探偵社が保護という形で彼を引き取った。

彼は異能者で、その異能名を『月下獣』と云う。虎になれる異能者なんて、何ともまあ凄い新人が入ったものだ。

因みにその日Aは谷崎と共に調査の依頼に出ていた為何も知らない。

そして今は、その新人と彼にとっての上司(になる予定の)太宰を探している真っ最中である。

｢全く。太宰の奴何処に行ったんだ｣

プンスカと腹を立てている国木田と共に。

｢そう云えば今日の朝、太宰から電話がかかってきたよ。なんか死にそうだから助けてって｣

｢あの男のことです。どうせ生きているでしょう｣

｢まあね｣

彼は所謂自 殺嗜癖で、あらゆる方法で自 殺を試みるが何故だかいつも失敗に終わる。彼の生命力はゴキブリ並だ。だからあの男がそう易々と死ぬはずは無いのだ。

｢あ、噂をすれば｣

前方に太宰と中島を発見。余裕そうな表情の太宰に苦笑いを浮かべる中島を見ていると心底同情してしまう。

｢じゃ、私は行くね。また後で｣

｢はい。後ほど｣

私は国木田と別れて探偵社へと向かう。何故って？
それは私が谷崎と共に爆弾魔のフリをしなければならないからだ。


｢ここに居ったかァ！この包帯無駄遣い装置！｣

国木田の太宰を呼ぶ声を後目にAは探偵社へと足を運んだ。

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