世話の焼ける人。【国木田独歩】

02御褒美 ページ3

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｢はあ〜〜〜〜やっと終わった！｣

今日の分と、昨日一昨日の分の仕事を終えたA。時刻は22時を過ぎており、事務所には彼女以外誰も居ない。

本人は気付いていないが、彼女は一度何かに集中すると、それを終わらせるまで絶対に集中力を切れさせないのだ。それはもう、恐ろしいくらいに。

｢帰って酒でも飲むか〜｣

そんなことを呟きつつ、荷物を纏めて社員寮へ帰る準備を進める。そんなとき、ガチャリ、と扉が開いた。

｢お疲れ様です、Aさん｣

｢あれ？国木田まだ帰ってなかったの？｣

そこに居たのは、定時ぴったりに仕事を終えてサッサと帰った裏切り者であった。そんな彼がまだ居たことにAは疑問を抱いた。

｢久しぶりにAさんが頑張ってくれたので、夕飯…っていう時間でもないですけど作っておきました｣

｢え！嘘！！ほんとに！？国木田愛してるぅ〜！！！｣

彼はこうして、偶に彼女の為に手料理を振舞ってくれる。彼の料理がまた絶品なのだ。流石はオカンといったところか。

嬉しさのあまりAはジャンプして国木田の首許に抱きついた。すると国木田は羞恥のあまり顔を真っ赤にさせ、行き場のない両手を震わせる。

｢んふふ〜、国木田大好き愛してる〜！｣

｢……ｯ、！｣


彼は本当に苦労人であり臆病者である。

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