世話の焼ける人。【国木田独歩】

18話 ページ19

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そろそろ、ちゃんと向き合わないといけない。そんなこと解ってる。でも、怖いのだ。今の関係が崩れるのが。

私は今のままでも十分居心地がいいし、無理に変えようとは思っていない。けど、このままじゃ駄目だってことは自覚している。

だから＿＿＿＿＿＿

｢国木田｣

｢…！はい、何でしょうか｣

｢…今日、仕事が終わったら私の寮に来て欲しい｣

ちゃんと、彼の目を見て。言葉の一つ一つ、丁寧に。国木田に、私の気持ちが伝わるように。

｢解りました｣

何やら覚悟を決めたような表情で、国木田は頷いた。私たちのやり取りを見ていた社員達はハラハラしていることだろう。


｢こりゃあ、大変だな｣


青年は一人呟いた。




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side.Kunikida


遂に、来てしまった。Aさんの寮の前に。｢もう来ていいよ｣とメールを貰ったので勇気を振り絞ってここまで来たものの、インターホンが押せぬとは…！

この臆病者！

然し、Aさんは俺に何の用なんだろう。夕食…には遅すぎる時間だし、真逆説教…？

｢なにしてんの｣

｢うおっ、Aさん…！｣

｢何をしてんのか知らないけど疾く入りな｣

彼女はそれだけ云うと、スタスタと中へ入っていった。彼女、本当にAさんなのかと問いたくなるほど静かで大人しい…。矢張り真剣な話なのだろう。

嗚呼、胃がキリキリと痛む……。

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