世話の焼ける人。【国木田独歩】

14定義 ページ15

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風邪が完治してはや数日。私は相も変わらずサボりに興じていた。もうそろそろ国木田が怒鳴りにする時間だろう。

其れにしても、先日感じた胸の高揚感は何だったのだろう。熱のせいだろうか？

分からない。

｢ナオミちゃんに聞こう｣

何故ナオミちゃんなのかって？

A.与謝野女医はなんか怖いから。



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｢ナーオミちゃん！一寸いいかな？｣

｢ええ、大丈夫ですわ｣

幸い、国木田は私を探していて探偵社には居なかった。丁度すれ違ったらしい。

｢あのね＿＿＿＿＿＿｣

其れから私は、先日の出来事を事細かにナオミちゃんに話した。全ての話を聴き終わった彼女の表情は妙に明るく、何やらワクワクしているようだった。

｢其れは恋ですわ！｣

｢……鯉？魚の？｣

目をキラキラと輝かせてそう云う彼女に、魚の鯉を思い浮かべる。

｢違います！人を好きになることですわ！｣

此奴まじかよ的な視線を送られたがそんなものは知らない感じない。

其れにしても、私が恋？国木田に？

｢だって、国木田さんに手を握られて離したくないと思ったのでしょう？それに、胸がむずむずする感じも！｣

｢え、まあうん…そうだけど｣

なら恋ですわ！と鼻息を荒らげる彼女に慌てて一寸待ってとストップをかける。

｢私が国木田を好きだなんて、そんなの無いよ｣

｢何故そう云いきれるんですの？分からないじゃないですか｣

真っ直ぐなその瞳に見つめられ、思わず目を逸らす。確かに、私は自分の気持ちが分からない。好きの定義さえも分からないのだ。

｢手っ取り早くこういう症状なら好き！みたいなの分からない？｣

｢…ネットで検索してみましょう｣

彼女はそう一言云うと、パソコンを開いてカタカタと調べ物を始めた。

｢た、頼もしい子……｣

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