世話の焼ける人。【国木田独歩】

01仮眠 ページ2

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“睡眠欲”とは、眠気として感じられる睡眠に対する欲求である。食欲・性 欲と並ぶ人間の三大欲求の一つとされる。

詰まり、我々が睡眠欲に抗うことは不可能なのである。と云う訳で私は今日も仕事を優秀な部下に任せ、近くの河原の土手で仮眠をとる。

あくまでこれは仮眠。そう、決してサボりでは無い。

｢今日はいつもと違う河原だし、国木田もそう簡単に私を見つけることは出来ない筈！｣

そう余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)で云い切った彼女の目は輝いている。いつもはもうとっくに部下である彼に捕まっている時刻。然し、その彼は今どこにもいない。

彼女が己の勝利を確信した＿＿＿そのとき。

｢誰がそう簡単に見つけることは出来ないと？｣

｢ヒッッ、く、国木田！？｣

背後から恐ろしく殺気立った声が聞こえ、驚きのあまり彼女は飛び起きた。そして彼から2.3歩距離を取る。

彼、国木田独歩は真面目で規則的、どんなときも己の信念を貫き理想を追い求める面倒な部下である。オマケに堅物で女性への理想も高い(らしい)

｢あれ、奇遇だね国木田。此処で何しているの？｣

1歩、また1歩と少しずつ距離を取り、国木田に捕まらないように愛想笑いを浮かべながらAは逃げる準備をする。

｢サボり癖のある不真面目な上司を連れ戻しに、そこらじゅうを探し回っていました｣

アッ、完全にお怒りモード入ってるわこれ。どうしよこんなに国木田怒らせたの久しぶりかも。やっぱり1週間もサボり続けたら国木田の堪忍袋の緒も切れるか〜。

｢ご、ごめんって国木田。そんなに怒らないでよ。ちゃんと帰って仕事するからさ。ね？｣

ニコ、と笑顔を浮かべて国木田にそう云うと、彼は意外にもあっさりと｢それなら善いです｣と許してくれた。

え、もしかして明日地球滅亡するんじゃない？

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