045 ド緊張 ページ46
.
いつもなら私たちのクラスで集まる朝のHR前。
今日から修学旅行までの間、スンチョルの朝の挨拶プロジェクトを見守ることにした。
｢ちょっとジョンハン押さないでってば、見えない｣
｢Aこそ重い｣
｢しーっ、二人とも静かにして｣
隣のクラスのドアに探偵のように張り付く。
視線の先にはジュアちゃんを目の前にド緊張で固まるスンチョルがいた。
(スンチョル、ファイティン……！)
不安げな表情のスンチョルがこちらを見るので
皆でガッツポーズを送ると、意を決したように
スンチョルが口を開きはじめる。
｢…… おい 小指でも賭けろよ賭ける金が無いなら命賭けろ！｣
(……………………？)
……クラス中の視線がスンチョルに刺さる。
目の前のジュアちゃんも口をポカン、と開けて彼を見ていた。
照れたように首に手を当てて頭を下げるスンチョル。
刹那、ジュアちゃんが逃げるようにしてその場を去った。
｢ブーーーーーーッッッッ｣
｢ハハッお前っ、おまえっ最高ッ｣
耐えきれず床を叩いて笑い転げる二人。
理解出来ずにただ戸惑うスンチョル。
スンチョルの味方をしてあげたい気持ちは山々だけど
私もじわじわと面白さが広がってきて同じように床を叩いて笑ってしまった。
…
｢あれっ、ははっ、あの流れはどう考えてもッ
朝のあいさつしかないだろッハッハッハ｣
｢いやでもお前らが魅力のアピールしろって｣
｢いきなり目の前に来てラップ披露するやつがあるかよ｣
緊張しすぎて挨拶の仕方を忘れた挙句、
突然小指でも賭けろよ、なんてラップを披露した男は
明らかに落胆した様子。
それっきりジュアちゃんに避けられているらしい。
申し訳ないけど私がジュアちゃんでも避けてしまうと思う。
慰めたいけど今日ばかりは無理、面白すぎ。
いよいよ本格的に凹み始めたスンチョルのやる気を
どうにか無理矢理引き出して、継続するように皆で促す。
……修学旅行まであと1週間。
果たしてこの恋の行方は。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 470人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：malolo | 作成日時：2021年12月16日 13時
