042 そのままで ページ43
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数々の絶叫マシンを堪能したあと
パーク内のレストランに寄って美味しいイタリアンも食べたし、雑貨屋さんで皆へのお土産も買った。
開業初日から本物が出る、と噂されていたお化け屋敷も
ジスの目に入らないように促していたけれど
勿論そんな訳には行かずにグイグイと引っ張るジス。
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁあ!!」
「あっははっ!作り物だって大丈夫大丈夫」
「本物だったらどうするのよ〜!」
「アレ、今あっちに人影が見えた気が」
「え、?どこどこ……?」
「ほら、ここ」
「ぐぎゃぁぁぁあああぁあああああ!」
…結局、半ベソをかかされる始末。
まるでお化け屋敷企画側の人間のようだった。
ジスが一番怖かった。
あっという間に日が暮れて、残すは夜のパレードのみとなった。
夜空の暗がりを他所に、建物が煌びやかに光っていてとても綺麗だ。
パレードの場所取りをした後、景色を眺めているとジスが口を開く。
「悩んでたんでしょ、ヌナのことで」
「…………ジスにはなんでもお見通しかぁ」
どれだけ見てきたと思ってんの、とジスは笑う。
いつも何かある時に口にしなくても気付いてくれるのはやっぱりジスだ。
「今日は楽しかった?」
「とっても!おかげで余計なこと考えなくて済んだ」
「うん、そのままでいなよ。俺らの前でもさ。
気遣って余計なこと考えないこと。
たまには自分の気持ち優先して」
よく我慢したね、と慰めてくれる手が優しかった。
ありがとう、と力一杯にお礼を言うと
付けていたカチューシャがジスの顔を直撃する。
顔を手で抑えるジスが私にも仕返しして、二人で大笑いした。
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作者名:malolo | 作成日時:2021年12月16日 13時