036 名残惜しい ページ37
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｢そうだA、今度休日遊ぼうよ｣
｢いいね、平日だとあっという間だもんね｣
映画を観たあとゲームセンターに立ち寄ると
辺りはすっかり暗くなっていた。
行きたかった喫茶店も丁度いいバスの時刻が無かったため、今日は行けなかった。
休日なら少し遠くで長く遊べるかもしれない。
｢どこにしよっか、動物園？水族館？｣
｢あ！この前できたばっかりのテーマパーク行ってみようよ｣
最寄り駅から5つ離れた駅から徒歩10分の新しいテーマパーク。
絶叫系から観覧車、お化け屋敷などと
色んなアトラクションが兼ね揃った場所らしい。
今度はそこにしよう、予定立てよう、と嬉しそうに
話すジスが可愛い。
…
バス停からはジスの家の方が近いけれど
彼は毎回、自分の家から離れた私の家まで送ってくれる。
｢ジスが疲れちゃうからバス停まででいいのに。いつも申し訳ないよ｣
｢俺がしたいからしてるの、黙って送られて｣
きっと歩くスピードも歩幅も合わせてくれている。
ジスはどうしてこんなにも紳士で、親切にしてくれるんだろう。
……しばらく他愛ない話で盛り上がっていると見えてくる私の家。
今日のお出かけは楽しすぎたから、
なんだか帰るのは名残惜しいというか、寂しい。
そんな私の様子に気づいたのか、ジスは可愛いと頭を撫でてくれる。
｢なーに、寂しいの？｣
｢うん、今日はすっごく楽しかったから｣
｢またすぐ出掛けようね、
そうだまた今日の夜電話しよ？｣
すぐに頷くと、ジスは一段と明るい笑顔になった。
まだまだ今日の映画の話とか次のお出かけの予定とか
話し足りないことが山ほどある。
｢…あ、でも電話越しのジスの声って普段とちょっと違って、なんかこう、くすぐったいから普通に話してよ｣
｢なにそれ、普通に話してるよ｣
｢嘘だあ絶対声低くしてるもん、ウォヌくんの真似っこ？｣
馬鹿にしてるでしょ、と笑いながら物真似するジスに
それはウォヌくんに失礼でしょ、と突っ込む。
ジスといると魔法のように気が楽だ。
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作者名：malolo | 作成日時：2021年12月16日 13時
