030 賭け ページ31
.
ジョンハン side
時を遡って学校祭準備期間。
ソヨンに呼び出された時から、俺の勘は働いていた。
｢Aちゃんのこと好きなの？｣
楽しい嘘をつくのは好きだけど
俺にとってこの質問は難しいものだった。
好きじゃない、なんて否定するたびに
いい気分にはならないけれど、Aを守るためについてきた嘘。
｢俺、Aのこと好きじゃないから｣
結局、今回もそれで通した。
そして最後に俺がコイツにとって嫌な奴になれば
Aのことを守ることが出来るから。
近頃やっぱり様子がおかしいA。
感情で動くのは苦手だからあくまで冷静に、
なんて考えている時に事件は起こった。
ソヨンたちに水浸しにされたであろうA。
その時Aを先に見つけ出したのは、
俺じゃなくて……ジスだった。
もっと早く動いていれば、彼女は泣かなくて済んだのかもしれないのに。
俺は笑顔にさせたいのに。
泣きじゃくるAを慰めながら俺に気付いたジスは
もう黙って見ていられない、としっかりと俺を見て言った。
あいつがAのことが好きだと言うのは随分と前から気付いていた。
それでも俺の想いなんて俺以外誰も気づいていないはずだった。
明らかに宣戦布告。
…
それから話は進み、ジスの著しいAへのアタックに
あろうことか俺は身動きが取れずにいた。
俺はAの気持ちがいちばん分からない。
好きだからこそ、変に干渉して悩みたくもない。
Aが出してくるのなら話を聞きたい、とは思っていた。
でも最近は、ジスの隣で幸せそうに笑うA。
(Aはジスが好きなのか……？)
ふたりの姿を偶然見つけたお祭りの帰り、
プライドなんてものは捨ててジスに聞いてみることにした。
[ 両想いなんじゃないかな ]
………帰ってきた答えに、上手く言葉が出てこなかった。
自分で賭けた勝負、傷つくなんて本当に格好悪いよな。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 470人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：malolo | 作成日時：2021年12月16日 13時
