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「 俺はヒョンが好き。だからダウォニヒョンとは上手くいって欲しくない。 」
そういえば、フィヨンが俺に応援しているような言葉をかけたことはない。チャニはずっと背中を押してくれてたけど、フィヨンは焦れったい俺を黙って見てることが多かった。
そういう気持ちでいたからなのか。
辻褄が合うと共に、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。今まで相談を沢山してしまっていたし、俺がどれだけダウォニヒョンのことが好きか分かっているはずだ。
それなのに、諦めずに振り向かせようとしてくれてたなんて。
嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちが複雑に絡み合い、中々言葉が出ない。拳をぎゅっと握り、黙っていたら、フィヨンが追い打ちをかけてくる。
「 どうせダウォニヒョンはインソンヒョンのことが好きなんだよ？それでも追いかけ続けるの？ 」
「 ………そうかもな。諦めた方が、いいのかも。」
脳裏に楽しそうな2人の姿が浮かぶ。
……俺なんかいなければ、2人は幸せだった？
フィヨンが俺の頬に手を当てる。
「 ……大丈夫、もしフられたら俺が慰めてあげる 」
体が静止したまま動けなかった。
唇が重なり、瞳から一滴の涙が零れ落ちた。
傷つきすぎた心には、どうしようもなく染みていった。
でもそこで俺は、彼とのシーンを思い出した。
＿＿＿また、しにたいなとおもったらたすけてね。
＿＿＿すき、なの、テヤンが。
＿＿＿勝手に、決めないで。
コロコロ表情が変わって、拗ねたり、泣いたり、怒ったり、大変な人だけど、にへ、と悪戯っけに笑うあの無邪気な顔が俺には忘れられない。
ダウォニヒョンじゃなきゃ、だめなんだ。
我に返って肩を押し返した。
「 ……ｯ俺は…ダウォニヒョンを取られたくない 」
「 …………どんなに願っても叶わないこともあるんだよ 」
「 それでも！！！！それでも……好きだから 」
そう言い残して、その場から走り去った。
喧嘩したままなんて、嫌だ。
ダウォニヒョンを探しに、宿舎を走る。部屋を訪ねても居なくて、インソンヒョンの部屋に直行したが、いなかった。
ダウォニヒョンが他の誰かのことを好きになるなんて考えられない。俺だけを見て欲しい。もっと、俺に染まって欲しい。
「 ……っどこ…… 」
ランニングにでもでかけてるのかと思って外に出る。すると思い通り、遠くから走ってくる彼の姿が見えた。
「 ……ヒョンｯ、！！ 」
「 ？…………え、あ…ど、どうしたの 」
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作者名：凪緩 | 作成日時：2022年8月21日 8時
