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人から食べさせてもらったことがなく、上手く入らなかったのか口の横にタレがついてしまったみたい。
ヒョンはそれをヒョイっととって、自分の口に入れた。
「 美味い 」
目を細めて静かに笑う姿にまたドキッとしてしまう。
あぁ恥ずかしくて言葉も出ない。
そして、またある日。
階段を降りていたら、松葉杖というものは結構怖いものだと気づいた。
素直にエレベーターを使えばいいものの、何故か頼りたくない自分がいる。
これもリハビリだ！と思っていたら
床が濡れていたのか、松葉杖がｷｭｯと音をたてて滑る。
ﾊｯとして松葉杖を離したら、そのまま体制を崩し、階段から転げ落ちそうになる。
「 っ、！ 」
本当に怖いときって声出ないんだ、
「 ヒョン！！！ 」
間一髪のところで、後ろから包み込まれた。
ふわっ、と香水が香る。
「 〜っソグ、 」
そのままソグに強く抱き締められ、心臓がﾄﾞｯﾄﾞｯと高鳴る。
いや、こんなときに何考えてんだ、
「 落ちるかと思ったじゃん 」
「 ごめん、 」
「 もうヒョンから24時間365日目を離さない 」
「 それはこわい。でも、ありがとう 」
うんっ、と満足気に笑うソグにまたドキッとした。
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「 ……はぁ 」
「 ダウォニヒョンが悩んでる顔してる 」
「 うわっ、何、いきなり現れないで 」
ソファーに座っていたら後ろからフィヨンが現れて体がビクッとする。
「 恋？恋ですかあ 」
「 お前のそれはめんどくさいよね 」
「 めんどくさいって言わないでください 」
「 でも当たっちゃうからだるい 」
フィヨンは目をキラキラさせて、やっぱねー！と当たったことが嬉しそうに笑う。
「 誰なの 」
「 好きかわからない。でもドキッてする、 」
「 それは恋だよ 」
「 でも二人いる、 」
「 二股は罪深いでしょ 」
「 二股なんてしねえよ！ 」
「 じゃあ決めなきゃ、どっちが好きなのか 」
フィヨンが熱心に見ていた携帯の画面から目を離し、その画面をこちらに向けた。
そこには、相手のことを好きかどうかを調べる方法というものが載っているらしい。
「 キス、してみなよ 」
き、
キス？！
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「 キスなんて、 」
馬鹿なことを。
そう思ってはいれど、どうしてもこの気持ちに終止符を打ちたい。ソワソワして、気にしてしまうから。
だからってキスなんて恥ずかしくてできない。
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作者名：凪緩 | 作成日時：2022年8月21日 8時
