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「 じゃあ薬飲んで。僕は練習に行かなきゃ 」
携帯で時計を見ると、練習まであと少しだった。
「 ……… 」
ヒョンからの返事がなくて背を向けて座っていた体制から、後ろに振り返る。それと同時に、起き上がったヒョンに後ろから抱き締められた。
「 ヒョン？ 」
「 ……テヤンがすきなの？ 」
体温が高いヒョンの温もりが、不思議な気持ちにさせる。なんでそんなことを聞くんだろう、と思いながらも、まだ確信に至ってなかった僕は首を横に振った。
「 好きかは、わからない 」
「 そっか…… 」
ヒョンの抱き締める力がぎゅ、と強くなる。
「 ……俺はダウォナがすき 」
耳を疑う。ドクン、ドクン、と心臓の音がうるさい。顔がどんどん熱くなってくる。
「 ……びっくりしたよね。俺は、血液型とか関係なく、人としてダウォナが好きなんだよ。一緒にいて楽しくて、心地よくて、ずっと傍で笑っていて欲しいって思った。 」
「 ひょ、ん…… 」
「 でもきっと、俺達は運命の人が現れたら、抗えないから……だから、これだけでも伝えたかった。 」
ヒョンは1人の人間として僕を好きになってくれた。Ωだからとかαだからとか、そういうのは置いといて、ただただ、僕に惚れたんだ。
「 ……話してくれてありがとう 」
「 ……うん。引き止めてごめんね、練習がんばるんだぞ 」
「 ヒョンもちゃんと寝るんだよ 」
「 わかってるよ〜じゃあね 」
僕は部屋から出るまで1度もヒョンの顔を見れなかった。恥ずかしいっていうのもあったけど、ヒョンが辛い表情をしているんじゃないかって思ったから。
いつも明るい僕達だから、湿っぽいのは好きじゃない。
インソンヒョンが僕のことを好き。
考えたこともなかった。彼は相棒のように僕の隣にいるけど、お互いに気を許していて、信頼してる仲だったし、まさか恋愛感情を持たれてるとは思わなかった。
僕が距離が近かったり、ベタベタくっついていたことを、ヒョンはどう思ってたんだろう。思わせぶり、とかしてたのかな。
考え事をしながら廊下を歩いていたら、誰かと肩がぶつかってしまった。
「 あっごめ……ん…… 」
顔を上げるとテヤンだった。
なんとなく気まずくてそのまま過ぎようとしたら、腕を引かれて、振り返る。
「 …………どうかした？顔色悪いけど 」
テヤンは少しの違いでも気付いてくれる。でも、インソンヒョンに告白された、なんて言えない。
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作者名：凪緩 | 作成日時：2022年8月21日 8時
