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携帯を見ると夕方の17時を回っていた。
結局僕は、あのまま…
意識を失うまでの記憶がフラッシュバックして、両手で顔を覆う。すごく恥ずかしい。
まだ体が熱い。薬を飲まないと、ヒートは治まらない。自分の意思に反して、体は反応してしまう。
自慰行為なんて、アイドルになってから1度もしていなかった。忙しかったし、何よりも薬で制御されていた。
今は耐えらないほど欲している。
さっきの続きがしたい、
そう思ってしまうのは可笑しいのだろうか。キスだけで狂いそうなくらい気持ちよかったのに、その先をしてしまったらどうなってしまうんだろう。
テヤンは、どういう気持ちでキスしたんだろう。
別に恋愛的感情がなくても、Ωというだけでしたくなってしまうのだろうが、嫌だったのだろうか。
それだったら、悪いことをしてしまった。
罪悪感で少し気持ちが収まる。モノに触りかけていた手を離し、布団から出る。
携帯で電話をかける。勿論、インソンヒョンに。
ワンコールで出た。その瞬間、ドアが開いた。
「 っダウォナぁあああー！いきてる！！！？！ 」
「 おおおお電話切るよ？！？！ 」
「 もう、だから休みなって言ったのに！！！それも俺がいないときに… 」
「 ごめん……ヒョンの言うことを聞いておくべきだった 」
「 でも、テヤンが運んでくれて良かったなー。って、テヤンは大丈夫だったのか…？ 」
「 ………大丈夫じゃ、なかった。なかったのに、僕を助けてくれた 」
「 どういうこと？ 」
「 僕を殴って意識を失わせて、襲わないようにしてくれた。」
「 えっ、でも…話に聞いたことがあるんだけど、ヒートのΩを目の前にしたら正常な判断はできないって 」
「 ……嫌いすぎてみたいな？ 」
「 おーネガティブだな。逆じゃない？好きだからこそトラウマになるようなことはしたくなかったんじゃないかな 」
ヒョンの言葉が本当なら、あそこで止めてくれたテヤンに感謝しなきゃ。
「 あ、てか薬！届いてたよ 」
「 ありがとう……でも、ヒョン持っててくれない？ここに置いてたらまた取られる気がする 」
「 わかった。欲しいときはちゃんと言ってな 」
こくん、と頷いた。
水を取りに行きたいところなのだが、このままじゃ誰かに鉢合わせたら確定で死んでしまう。
「 もーーパシリじゃん俺 」
「 僕の召使いなんだから早く行きなさい 」
「 ったくーー 」
優しいからヒョンは行ってくれる。
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作者名：凪緩 | 作成日時：2022年8月21日 8時
