5 ページ15
.
それと同時に、凄く嫉妬する。
勝てないとわかっていても、やっぱり傍にいるのは俺がいい。俺が、幸せにしたい。
「 …でも、行動しなきゃね？見てるだけだったら誰でも出来るもん 」
チャニにそう言われてああぁーと崩れ落ちる。
宣言したり、目標を立てるのがいかに簡単かよく知っている。行動をしなければ、彼に気づいてもらうどころか、目も向けてはくれない。
「 てかダウォニヒョン、めっちゃしんどそうじゃない？ 」
フィヨンがそう呟く。
確かに、今日は膝に手をついてしんどそうにする姿を何度も見た。熱があるのかもしれない。
「 …体調労わってくれるのは好感度上がるでしょー 」
「 いや、でも、そういう感じじゃないし、」
「 また言い訳してる 」
「 簡単に行けたら拗らせてません 」
意識すればするほど、話しかけられなくなる。
本当は、もっと近付きたいし、話したいし、ずっと触れてたい。
欲望が出れば出るほど嫌われる気がして、関われなくなる。
そのまま見ていたらダウォニヒョンがｽﾀｽﾀとどこかへ行ってしまった。
それをインソンヒョンも見ていたのか、追うように歩いていった。
「 また負けてんじゃん 」
「 ねえチャニは俺の味方なの？敵なの？ 」
「 どっちでもない 」
傷付いたよ俺は…
でもまた、これで差が開いたんだなって思った。
元から何も行動しない俺といつも一緒にいるインソンヒョンじゃ、とっくに何億も差がついてるんだよ。
わかってる、わかってるけど。
なんて声をかければいいか、どうしたら彼は元気になるのか。それを考えていたら動けなくなる。
俺が行かないことが彼にとっての最善だって思ってしまうから。
練習が再開される時間になっても、彼は戻ってはこなかった。ヨンビニヒョンが言うには、熱があって体調が優れないから帰らせた、らしい。
熱があるのに練習してたなんて。
ダウォニヒョンは最近ずっと空元気な感じがしていた。彼を見てきたから分かる。何をするにもボーっとしていて、体も上手く動いていなかった。
やっぱり、帰ったら声をかけよう。
そう決めて、1日の練習を終えた。
宿舎に帰ってきて、ダウォニヒョンの部屋のドアの前で立ち尽くしていた。
きっと寝ているだろう、そう思っているものの、起きていたらなんて声をかけよう、と考えてしまう。
とは言えど、ドアの前で立ってるのは流石に不審なので、意を決してドアをノックした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：凪緩 | 作成日時：2022年8月21日 8時
