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副作用は頭痛や目眩などをはじめとし、吐き気や嘔吐、突然熱が出たり、感情の浮き沈みが激しくなったり、倒れそうなほどの眠気に襲われたり、疲労感がずっと続いたり、とアイドルをしていくには大きな壁であった。
でも僕はそれを乗り越えるために体を鍛え、筋肉を作り、あくまでΩに見えないようにを目標に、頑張ってきた。
医者にはアイドルは諦めろ、やめろ、と言われた続けてきたが、薬の副作用に脅かされ、αという存在を恐がって生きていくくらいなら、自分のやりたいことがしたい。
Ωのくせに目立ちたがりで、いつも先頭にたっていた僕は、血液型の壁なんて壊してやる、そう思っていた。
αの怖さを、今まで感じたことはなかったから。
両親の性は、どちらも男だった。
小学生になって初めて男女の保護者を見たとき、衝撃だった。あれが普通なのだと、そう思ったら自分か恥ずかしくなったこともあった。
両親はいつも幸せそうで、楽しそうで、そんな両親を僕は大好きだった。両親も僕に愛を持って育ててくれた。不器用ながらも丁寧に丁寧にここまで育ててくれたのだ。
アイドルをしたい＿＿そう言ったとき、最初は猛反対だった。Ωがどれほど大変か、αの怖さを知らないからそう言えるんだ、と沢山説教された。
でも、僕は揺らがなかった。
家でずっと歌の練習をしていたら、両親がある日部屋に来て、「お前はほんとに歌が好きなんだね」と言って、泣きながら承諾してくれた。
そんな両親の為にも、僕は乗り越えなきゃ行けなかった。
ｶﾗｶﾗｶﾗ…
ﾊﾞｯと後ろを向く。
オレンジ色の髪が風に靡いて、大きな瞳が太陽に光に反射されて綺麗に輝く。
いつだって僕のことをよく理解して、いち早く駆けつけてくれるのは彼だった。
「 練習始めるって言ってるけど、大丈夫？体調良くないだろー 」
ほい、と手に持っていた水が入ったボトルを渡され、ありがと、とお礼を言い、一気に半分ほどを飲み干す。
「 良くないけど、僕が明るくいなきゃ、みんな沈んじゃうでしょ？ 」
「 無理してるお前を見てるのは辛いよ。無理なら無理って言いなさい 」
サラ、っと髪の毛を触られて、はは、と乾いた声で笑う。
「 …ごめん、ヒョン…少し休憩させてほしい 」
「 よく言えました 」
頭を撫でられて、それが心地よくて目を細める。
インソンヒョンは僕の体調が悪いときはすぐ気付いて、こうやって声をかけてくれる。
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作者名：凪緩 | 作成日時：2022年8月21日 8時
