影に隠れた会話 ページ4
ミルフィーside
涼しい秋が始まり、春の終わりから始まった塔での暮らしも、もう結構前の事なのだと感じるようになった
その事に焦ったノエルは、隣国で秋祭りが行われる時期にも関わらず秘薬の材料を集めにここ最近は休み無しに外へ出ていた、ノエルは私達だけでも楽しんで欲しいと王子達に発作を抑制する薬を渡してくれた
「わぁ…すごく賑わってますね!」
シトロンがたくさん並ぶ出店に目を輝かせる、本当はノエルと来たかったのだろうけど、王子達と来れるだけで嬉しいと話していた
「それじゃ、王子達の変装がばれない程度に楽しみましょう」
バルバンさんの声と共に、皆好きなところへ走って行く、王子達もこういったお祭りは久しぶりなのかとても楽しそうだ
「おーい、ミルフィーとフィロア〜!」
幸せな気分でいると、私とフィロアの方へリウォン様とショウル様が走ってくる
「はい、どうされましたか?」
「「じゃーん」」
二人が私達の目の前に手を出す、何かと思い見てみると…
「きゃああ!トカゲっ!」
慌てて後ろに逃げる、二人が持っていたのはトカゲの串焼きだったのだ
「何て物を持ってるんですか!…ああ、怖かった…」
ゲラゲラ笑う二人を呆れた目で見ていると、普段はこんなにも明るくて優しいんだと感じて、呪いが恨めしく思う
「もう、私…町の奥に行ってきます!」
これ以上変なものを見せられないようにと私は町の奥へと足を運んだ
出店がない静かな道の近くで休んでいると、どこからか小さな話し声が聞こえて来た
「…………か、…が………だろ、…だぞ、…なぜ……」
私は不思議に思ってしばらくその場所で聞いていた
「くくっ………など、…には、……いる」
何を話しているのか聞こえない…私はもう少し近づいた
「…私を止められるものなら止めてみろ、まあ…貴様のような半人前が魔女に敵うとは思わんがな……ククク…」
全身に鳥肌が立った、魔女が…近くにいる、そしてもう1人…誰かいる
「楽しみにしているぞ…半人前、貴様と戦う時を!」
魔女が言葉を言い終わると、黒い煙が辺りを包んだ
「う、…ゴホッゴホッ…逃げた…?」
「…大丈夫ですかな?」
咳き込む私に、おじいさんが声をかけた
「は、はい…さっきのは…?魔女、なんですか?」
「気にしないでくださいませ、あの人は私の師匠です、確かに魔法は使えますが…魔女ではありません、それでは」
心に疑問が残るまま、その人は立ち去った
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さっちー - めっちゃ面白いです! (2015年3月9日 22時) (レス) id: c6d91595f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:守羽 | 作成日時:2014年7月31日 2時