斉藤くん ページ14
それはとても天気のいい放課後
こんな晴れてる日はどっか遠出でもしたいもんだなあと考えながら廊下を歩いていると「雪城!」と私を呼ぶ声が
振り返ればそこには一年の時、同じクラスだった斉藤がいた。そしてノートを持って私にこう言った
「頼む!ちょっとこれ縁下に渡してくんねえ?」
「だっっるパシリかよパス」
と振り返って帰ろうとすれば肩を掴まれ
「頼むよ〜!俺これから部活なの!雪城暇だろ?」
「いや暇じゃねえしバイトなんだわ!」
「ええまじかー…俺練習試合なんだよこの後!あとこれ縁下に返さねえと明日の小テスト勉強がって怒られる…」
「いや知らねえ!!」
縁下に怒られたくないだけじゃねえか!てかクラスちげーし!
「とにかく私はバイトなんだよ悪いな」と肩に乗った手を優しく下ろそうとしたらブーン、と携帯が鳴ったのですぐさま叩き下ろした
いてぇ!という声は無視して電話に出れば、聞きなれた声が
「もしもし雪城ちゃん?店長だけど!」
「もしもしお疲れ様です〜。どうしました?」
「いやあ実はさ聞いてよ〜!さっき嫁ちゃんと喧嘩しちゃってねー…」
またかよ何回目だよ…ていうことは?
「休みですか?」
「うん今日はお休みでいいよ!」
「あ、うす」
ビンゴかよ
「じゃあまた次のシフトでよろしくね。お疲れ!」
「お疲れ様です…」
切る寸前、嫁ちゃん仲直りのちゅう(はぁと)とか言ってやがったしイチャイチャしたいだけじゃん。ほんと気まぐれだな!!
こういうことは多々あった。私のバイト先は居酒屋であるが、個人経営の居酒屋で優しい夫婦が営業している。普通のところと違うといえば、こうやって喧嘩した日は休みになったり片方が風邪を引けば休みになったりと、結構自由でゆるゆるしすぎている感じがある
まあおかげで暇になったけど
はァ、とため息をついて携帯をしまえば
目の前の斉藤はにやけ顔でこちらをのぞき込んでいる
クソ意外にイケメンだなこいつ腹立つ
「話は聞いたぜ。まあなんか奢ってやる」
「駅前限定のコンビニにしかないシュークリームと生ショコララテ」
「俺が家から駅遠いのわかって言ってるな?」
「男に二言はねえ」
そんなこんなで交渉は成立、パシリを引き受けた私は部活をしているであろう体育館に向かうことにした
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作者名:さくらねこ丸 | 作成日時:2019年2月15日 19時