桜が散ると、真っ先に夏を一緒に見に行こう。【HSJ】 (ページ24)

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22話ページ24

(涼介side)

ライブビデオは、ファンたちから涙を呼び、

メンバーたちの絆を深めた。

アリーナツアーのあと、裕翔は、だんだん、弱っていった。

最初は、動けなくなって、

次に、あまり喋られなくなり、

ついにはほぼ寝たきりになった。

そんな裕翔の姿を、俺たちはただただ、見ているしかできなかった。

……辛かった。

……苦しかった。

……何も出来ない自分が、憎らしかった。

裕翔は、もう助からない。

それは、馬鹿な俺たちでも、痛いほど分かった。

裕翔の命を繋ぐのは、栄養を送っている管ただひとつ。

それがもし、ちぎれようもんなら、裕翔は2日ほどで死んでしまう。

季節は春が終わりを迎え、6月30日、梅雨も終わりを迎えかけていた。

涼介「裕翔、ここに花、置いとくからな」

裕翔「……」

裕翔は黙って、小さく頷いた。

裕翔はもう、話さないんだろうか。

もう、無理なのだろうか。

涼介「……っ」

そう思うと涙が止まらなかった。

その時、もう力が残っていない手で、裕翔が紙とペンがある方を指さした。

涼介「とって欲しいのか？」

俺はそれを取って、裕翔の前に置いた。

ゆっくり、ゆっくり、字を書く裕翔。

涼介「……っ、うっ……」

出来上がった文字を見て、俺は思わず号泣した。

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