桜が散ると、真っ先に夏を一緒に見に行こう。【HSJ】 (ページ12)

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10話ページ12

(宏太side)

泣き続ける裕翔を、ただただ見ていることしか出来ない俺と山田。

不安な気持ちは手に取るようにわかる。

悲しいのは、みんな同じだって。

でも、今の裕翔の辛さは分かってあげられない。

俺たちが無力なばかりに＿＿＿＿＿。

魔法でも使えたら。

そしたら、裕翔の病気を治せるのに。

そしたら、また楽しい日々に戻れるのに。

そんな考えだけが頭によぎった。

＿＿＿＿＿＿＿コンコン。

そう音が聞こえ、俺が「はい」と言うと知念が「入るよ？」と言った。

その一言をきっかけに開く扉。

そこには、信じられない人物が立っていた。

宏太「りゅ、龍太郎！？」

龍太郎「久しぶり、薮ちゃん、山ちゃん。それと……裕翔」

裕翔「龍太郎……どうしてここに？」

龍太郎「裕翔が病気になったって、マネージャーから聞いたんだ。じっとしては居られなくてさ。まさかこんなことになってるなんて……」

龍太郎が下を向き、そう語る。

龍太郎は、あの頃とは違い、少し大人びていた。

侑李「ゆーてぃー、僕達全力で支えるからさ。だから、もう泣かないで……？」

知念のその言葉に、裕翔は激しく頷いた。

裕翔「うん……俺、病気治すよ。みんな、サポートしてくれる……？」

みんなは「もちろん！」と声を合わせた。

＿＿＿＿＿＿でも、俺たちは知らなかったんだ。

＿＿＿＿あんなにも壮絶な、闘病生活が待っているなんて。