迷い込んだ国の王様【ヒラ】 (ページ39)

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さんじゅうく。ページ39

夕ご飯を食べてから、また本を開いて読み始めた

この本は、人間の生死についての本だった

難しい言葉もあって、理解できない部分もあったが

何かと、納得できるようなところがあって

次へ次へと、ページがめくれていく。

そんな中で、私はこんな文章を見つけた

＿＿＿人間は、永遠ではいられない。

＿＿＿人間は、か弱い生き物で、

＿＿＿人間は、そのうち朽ちていく、愚かな生き物だ。

【人間は、永遠ではいられない。】

その一文に目が止まり、ページがめくれなくなった

いつまでも、キヨさんや、フジさん

そしてヒラさん達と、一緒にいたい。

そう、私が望んでいるのは永遠だ。

人は、死んでしまったら、ただの肉の塊になってしまう。

かつては大好きだった母親が、その肉片へと変わる様を

私は目の前で見た

あの時の光景が、目の裏にくっきりと写って消えてくれないから、わかる。

ヒラさん達がいなくなったら、私は本当の独りぼっちになってしまう。

そう考えると、悲しくて仕方なくなった

何かをしないと、泣きじゃくってしまいそうになって

とりあえず、３人のところへ行くことにした

『ねぇ、フジさん、ヒラさん、キヨさん…。』

そう言うと、キヨさんが少し驚いてこちらを見る

「おっ…ど、どうした？」

『私ね、医者になりたい、ここにある本を読んで、勉強をしたい。

　それでね、私、どんな病にも聞く万能薬を作りたいの。』

違うの、言いたいのはそんな事じゃない。

私は皆とずっと一緒にいたい。

永遠に、一緒にいたい、笑い合っていたい。

人間が永遠になれないのなら、なれるような薬を作りたい。

そう考えると、余計に視界がゆがんで目をこする

ヒラさんがいてくれなきゃ、私は駄目だ。