拝啓、勇敢なる警察官たち。【名探偵コナン】

No.53 ページ9

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少しふらつきながらも、地面を踏み締めるようにしっかり立った。



「ごめんなさい、もう既に犯人は立ち去っている可能性が高いわ。」



勿論、捜査は続けるけれど。と困ったように眉を下げて言う佐藤刑事。


そんな表情をさせてしまったことに、僅かな罪悪感が滲む。



『佐藤刑事が謝ることじゃないです。


…まだ爆弾は残ってます、次は必ず捕まえましょう。』




だから、私に黙って行動しようとしないでくれ。



静かにその意思を込めながら、佐藤刑事と目を合わせた。


私の思いを知ってか知らずか、彼女は力強く頷いて愛車に乗り込み、署に戻って行った。




1時間弱での出来事に、心も体も疲労した私は、一度深く深呼吸をして力を抜いた。


次いでにしっかりと地面に座り込んでしまったため、ズボンを軽く手で叩く。



そして、何やら此方をチラチラと見ながら未だに通話を続けている陣平に近づいた。



徐々に陣平の声がはっきりと耳へと入ってくる。



近づいていくうちに、犯人は…、なんて言葉が聞こえてきた。



完全に私を安全圏へと蚊帳の外へ追いやり、捜査を続けるつもりだろうと察する。



少しの怒りが微かに熱を持って、確かに私の胸に現れた。


さっきまでの私の恐怖は何だったのか。


自らの感情を蔑ろにされたような気分になりながら、渦巻く負の感情をどうにかして落ち着かせようとした。


2人が自分の命を軽視していること、私の気持ちが伝わらない悲しみ。



そして何より辛いのは、頼りにされない寂しさだと認めるしかないだろう。




『…2人とも、夜9時、私の家に来て。』



スピーカーになっているはずだから、きっと研二にも聞こえている。


ただそれだけ言い残して、振り返らずに車へと乗り込んだ。



…貴方達の命が、どれほど大事か。



私がどれほど、貴方達に依存しているのか。


そしてその灯火が消えた時、どれほどの悲しみが襲うのか。


その恐怖。



…わかってほしい。


その命は、生きている本人だけのものじゃない。



＿＿＿＿それはきっと、私が1番知っている。

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