拝啓、勇敢なる警察官たち。【名探偵コナン】

No.55 ページ11

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side諸伏


『どうしてそんなに簡単に、自分の命を犠牲にするの。』



最早、疑問符の付いていない、力強い言い切りの語気を放つAちゃんに、俺らの出番はないのではないかと思った。


年下の女の子に、説教される警察官2人。

すごい絵面だよなぁ、なんて思う反面、これくらいが此奴等には丁度いいかとも思う。


組織関連でごたついていた今日、突然Aちゃんから電話がかかってきて、夜8時に家に来てくれと言われた時、勿論最初は断った。


けれどAちゃんは、俺の断りなど最初から受け入れるつもりはなかったようで、そのまま今日の昼の爆弾騒ぎの出来事を簡潔に説明し始めた。


最後に、終わらなかった仕事はいくらでも手伝うから絶対にゼロと一緒に来てくれ、と言い切られ、わかったと返事をした。


…無論、それ以外の返答はきっと受け入れてもらえなかっただろう。


その後、徹夜明けのゼロにも話をして、時間通りにAちゃんの家へと着くと、今まで見たことのないほど、表情のないAちゃんが迎え入れてくれた。



俺もゼロもただ事ではないAちゃんの雰囲気に戸惑いながら、詳しい経緯を聞いた。



そこで抱いたAちゃん自身の感情も含めて。



俺とゼロは最初は黙って見ていて欲しいと頼まれたため、こうしてソファに座って静かにことの成り行きを見守っている。



こっ酷く叱られている2人を見ながら、この子にそんな辛い思いをさせたお前等の罪は重いぞ、と心の中で呟く。



『私の知らないところで、いなくならないでって、言ったでしょ、』



それまでの勢いのあった言葉とは裏腹に、俯きがちに弱々しく発せられた言葉。


松田も萩原も、はっとしたように目を見開いた。



「ご、ごめん、Aちゃん、でも俺ら、Aちゃんを危険な目には…


『…っ、私、そんなに頼りないかなぁっ』



とうとう抑えきれなくなったように不器用に震えた言葉に、萩原が焦ったように立ち上がってAちゃんに寄り添った。

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