拝啓、爆弾魔さん。【名探偵コナン】

Happy birthday to you. ページ48

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大量の副流煙に少し咳き込んで、陣平を睨む。


『まだ煙草にお世話になる人間にはなりたくないなぁ。』


「そのうち絶対吸わせてやる。」


『それ警察官が言っちゃうの？』



やろうとしていることがヤクザのそれなんだよな。


私に向かって煙を吐き続ける陣平に、顔を背けて無視をしていると、研二と伊達さんがお皿を持ってこっちに来た。



「ねぇ！これAちゃんが作ったの？」


私が作ったおかずが乗ったお皿を並べながら、目を輝かせて研二が聞いてくる。


そのおかずとは、私の1番得意な料理、青椒肉絲である。


私たちは家族揃って中華料理が大好きで、回鍋肉も餃子も炒飯も毎週のように作っていた。


その中でも1番得意だったのが青椒肉絲で、お父さんが家に帰ってくる時はビールとともに必ず用意していたものだ。


『味は保証するし、ビールにもぴったりだよ！』


「よし、じゃあ乾杯しよう！」



20歳の誕生日。成瀬A。ビールを飲みます。


右手にキンキンに冷えた缶ビールを握って。



「それじゃ、Aちゃんの誕生日を祝って、乾杯！」


「「『乾杯！』」」


ごくごくと飲む3人に倣って、私も気合を入れてビールを口に流した。


弾ける泡と苦味が広がる。


『っはー！』


「初めてのビールはどうだ？」


大らかな笑顔で私に問う伊達さんは、お父さん以外の何者でもないだろう。


『美味しい！』



何事も初めて、というのはとても興奮するものだ。


体は既にアルコールの魅惑に気づいたのか、すぐに飲みたくなってくる。



「…おいおい、飛ばしすぎじゃねぇか？」


迷わず一本飲み切ると陣平からのガヤが飛んでくる。


体の芯が熱い。これが酔い、というものか。


今日くらい、羽目を外したっていいだろう。


でもその前に、私だけ楽しむという状況はよろしくない。それは楽しいとは言えない。


『みんなも食べて！』


なんてったってこの場所は、ありのままのみんなを守る場所なんだから。

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