【刀剣乱舞】その審神者、政府の基準なり【ブラック本丸】 (ページ43)

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素敵でページ43

厚side

あの遡行軍襲撃事件からもう5年経った。

大将はあれからずっと眠り続けていた。

大将は先の対戦で使った霊力を補うように、まるで死んだように眠り続けていた。

俺達2振りが顕現出来るくらいには回復しているはずだが、どうにも様子がおかしかったので政府の方で精密検査をすると、元々あった膨大な量の霊力が無くなっているらしい。

神気も必要最低限、霊力は俺達2振りを辛うじて顕現出来るほどまで減っているそうだ。

一種の体質的なものだった穢等の空気を自分の霊力に変換できる力はなくなっていたらしい。

長命になっただけの、まるで、、
普通の、人間、のような……

俺と薬研は大将の霊力の消費を抑える為にも、毎日交代交代で看病をしている。

医者が言うには、”身体”の方は完全に回復しているらしく、あとは精神の方が強く何かを願ったら帰って来れる、と言っていた。

大将が帰ってきたいと思えること、かぁ…

俺と薬研がその話を聞いたの感想だった。

大将は気づいてなかったかもしれないが、俺達は大将があの戦いで命を賭していたことは知ってたんだ。

だから俺も薬研も全力で戦った。

大将にもしもの事があったら、
死路を導けるように、誇っていけるように..

なぁ、大将。

大将がいなくなって政府は騒然としてたぜ。

神城が一時的に纏めて、仮の長になってるらしいが、あいつもう本物だったぜ。

大将はもう戻る気は無い、って伝えたら歯ァ食いしばって涙堪えてたんだ。

まだまだ未熟かもな、あいつ。

でも、紅緒が側で支えるらしい。

いっつも1人で突き進んでたあの人がサポートだって、俺、信じられなくて笑ったんだぜ？

雪華は、大将の刀剣達を継いで頑張ってやってるらしい。先輩審神者達に扱かれながら元気だそうだ。

あとは、修行の件も色々と見直されたらしい。
審神者達が政府に猛抗議したんだってさ。

あとは、……あとは、な

ぽろぽろと雫が膝に零れていく。

「大将、俺達寂しいんだ。

前まではずっとずっと、毎日一緒に居たのに、当然2振りだけになって………」

目元を雑に擦って、大将の手を握る。

「大将、知ってるか？
人が長い間見たり聴いたりしなくなると一番最初に忘れるのは、声らしい」