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繰り返した先 ページ2

「ちゃん……、Aちゃん…!」


……。

「大丈夫っすか…?」

目を覚ますと、心配そうな顔をしている澪田と目が合った。

「Aちゃんここで倒れてたんすよ!」



「…っ、な、凪斗…っ」



「ちょ、Aちゃーん!」




こんな所でのんびりしている場合ではない。

工場を出ると、工場の出入口まで焦げ臭い匂いが漂っていた。

これだけしか遡っていないのか。




Aは心の中で舌打ちをすると倉庫へと走る。


「あら、どこへ行くのですか…?

…まさか、誰か、Aさんを止めてください…!」

横を駆け抜けた異様な様子のAを不思議に思ったソニア。

然し気づいてしまった。

彼女が焼かれている倉庫に飛び込むつもりなのだと。


それを阻止しようとソニアは皆にAを止めてくれと叫ぶ。


ソニアの声やAの尋常ではない様子に皆は気づき、走るAを止めようとする。

「落ち着けAッ!」

「…退いて…っ…」

日向もAを止めようとするが、躊躇があったせいか、彼女の力に簡単にその腕は払われてしまう。

日向を振り払った事に罪悪感が無いわけじゃない。


けど、それ以上に助けたかった。


「あ、つ…っ」


カーテンやプラスチックの焼けた匂いが、鼻をつく。

息をなるべくしないようにして

それでも近づく事を辞めない。


だって、貴方はまた死んでしまうんでしょう?


「凪、斗…ッ」


「…っ…!?」


カーテンの裏側の空間。

「凪斗…!」

彼がボロボロの状態で、そこにいる。

生きている状態の彼と合ったのは久しぶりだ。

私と目が合った彼は、驚いた様に目を見張っていた。

後ろからは数多の瓶が割れる音や、私を呼ぶ声がする。

瓶が割れたということは、もう毒が回ってくる。

急いで彼に張り付いていたロープやガムテープを外そうとするが

手が震えて上手く解けない。

世界がスローになってゆく。


みんなと…彼との色々な思い出が…


私の脳を一気に駆け巡った。

蘇った走馬灯…。

きっと死ぬのだと、そう思った。


「うっ…ケホッ…」


煙たく毒のせいで噎せた中

震える手で

やっとの思いで

彼の口のガムテープを取った。


「…A…さん…」


「凪斗……





_______


彼の色素の薄い瞳と、視線が交わった。

何回目→←ほんの一部の死。



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設定タグ:スーパーダンガンロンパ2 , 狛枝凪斗   
作品ジャンル:アニメ
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☆?(?v?。)(プロフ) - ええ〜!これからどうなるんだろう…皆と会えるのかな…?読んでて本当に楽しくて一気読みしてしまいました。更新待ってます! (2023年1月6日 1時) (レス) @page25 id: 55f21e1ec6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - 凄く好きです!更新楽しみにしています。 (2022年6月10日 2時) (レス) id: db5b18e24f (このIDを非表示/違反報告)
枢戸(プロフ) - 粉雪さん» 暫く時間が空いてしまいましたがこれからまた毎日少しずつ更新していければなと思います。今日もありがとうございます。 (2021年5月7日 1時) (レス) id: 8715b54326 (このIDを非表示/違反報告)
粉雪(プロフ) - 更新お疲れ様です!そこで助けに入るのはまじでイケメンすぎる…次回の更新も待ってます (2021年5月7日 0時) (レス) id: 1b838ad70c (このIDを非表示/違反報告)
枢戸(プロフ) - らさん» Twitterにまで興味を持って頂けて嬉しかったです。ご縁があればTwitterで繋がれればと思います。 (2021年4月25日 9時) (レス) id: 8715b54326 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:枢戸 | 作成日時:2020年12月24日 0時

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