明日天気に ページ9
A…。
心の中で呟いた矢琶羽は1人、自室で苛立ちを露わにしていた。
理由は紛れもないAであった。
また来るだろうと、矢琶羽は思っていたのだが
Aは、また来る、と別れたあの日以来、祭りの前日である今日になっても寺に顔を見せに来ることは無かった。
街中で見つけることも、いつものように急に押し掛けてくることも無い。
少なくとも3日に1回は顔を見せていたAの姿が急に見えなくなり、矢琶羽は少々表情を曇らせながら夕暮れの空を見る。
「…明日になっても来なければ、1度迎えに行ってやろうか…」
明日、祭りが始まる時間になったとしても来なければ家へ行くしかない。
それにしても、Aをたった数日見なくなっただけで、こんなにも心に穴が空いたような、空虚な感覚に陥るとは思ってもみなかった。
小さい頃からの幼なじみであるAが、どれだけ自分の中で大きくなっていたのか思い知る。
いつもはAから来てくれるので、寂しいなどと感じる暇がなかっただけなのだと気付かされたような気がする。
自己分析できる余裕はあるものの、自覚すればするだけ、その空虚さは大きくなった。
早く明日になれと、幾度も願いながら、その日を過ごした。
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作者名:aaa | 作成日時:2022年8月31日 10時