心の死 ページ8
「…う、うん…。またくる…」
未だに驚きつつ、なんとか頷くと踵を返して出口へと向かう。
帰り際にチラリと振り向くと、目が合った矢琶羽はふわりと笑みを浮かべ、控えめに手を振ったのだ。
内心は凄く嬉しかった
しかし…
「…なんか、優しすぎてこわい…」
「何か言ったか」
「な、なんでもない!」
聞こえていなかったことに安堵しつつ、手を振り返すと、矢琶羽のいる寺を後にした。
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「ただいま」
家の中へ入り、居間へ向かうとそこに居たのはAの父親。
父はいつにも増して難しそうな顔で部屋に入ってきたAを見る
「A…、ここへ座りなさい」
「…また許嫁の話?いい加減にしてよ
私をなんだと思ってるの!?」
父が真面目な話をする時は、概ねAにとって吉報でないことが多い。
溜まりに溜まった怒りは、ついに爆発してしまった。
怒りを露わにして叫ぶAとは裏腹に、父は酷く落ち着いていた。
「お前の婚約の話は今はいい。この前の婚約はお前がしたくないと言ったせいで破綻になった」
「……」
父親の顔はさぞかし潰れたことだろう。
しかし、Aにとっては父親の顔が潰れようとなんだろうと知ったことでは無い。
ざまぁみろ、とさえ思えた。
「…それよりも大事な話がある…」
そして父親が語り出した。
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「……うそ…」
Aはその言葉に、目を見開いては絶望し、その後は死んだ様に祭りの当日までの日々を過ごした。
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作者名:aaa | 作成日時:2022年8月31日 10時