会いに行くね、必ず ページ13
Aは矢琶羽の言葉に目を見開く。
少しは悲しんでくれると、期待していたのだ
しかし、そんなAを置いて矢琶羽は続ける。
「都会ならばここよりも治安が良いであろう
門限を破るお前には良い場所じゃ」
「……」
Aは泣くことも出来ず、ただただ唖然とする
門限を破っていたのは、他でもない、貴方の部屋にいたからではないか
「儂も鬱陶しいお前の泣き顔を見なくて済む」
泣いていたのは、他でもない貴方を想う気持ちのためではないか
「お前はそちらで勝手に幸せになるがよい」
私は、貴方と幸せになりたかった
「……お前が誰と結婚しようと、儂には関係の無いことなのだからな」
あの時、私が言った台詞…
「…それが…矢琶羽の、本当の気持ちなの…?」
泣くことも忘れ、呆然とするAをゆっくりと振り返る矢琶羽は
酷く冷たい目をしていた
「…嘘も本当もあるまい。
最初から、本当のことしか話しておらぬのだからな」
「っ………」
Aは喉に突っかかるような嗚咽を感じとても不快に思う。
泣きすぎて、瞼が熱い。
粉々に砕けた夢見がちな乙女心は、そのまま涙と共に、地面に落ちていった。
矢琶羽は覚悟をした。
Aに、いつものように罵られる覚悟を。
どうせまた、馬鹿としか言わないだろうと思っていた
しかし、Aはふ、と笑ったのだ
「……そう…。…また、会いに行くね…必ず……」
「………」
「待ってて…ね…」
最後に見たAの顔は、とても…大人びて見えて
とても綺麗で…
心の底から、離したくないと思ったその心を、それはもう残酷に
刃で刻みつけた。
待って、待って、後悔と待ち続ける→←遠くへ行って、しまえばいい
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作者名:aaa | 作成日時:2022年8月31日 10時