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告白 ページ11

「落ち着いたか」

「…う、ん…」


話もできないほどに泣きだしたAを、近くの広場にある長椅子に座って慰めていたのだが

やっとこちらの声が聞こえるくらいには落ち着いたらしい。


「A、何があった」


Aは目を伏せたまま俯いて首を横に振るばかりで、口で答えようとはしない。

今までで見たこともなかったかのような悲しげな顔。

今まで泣かせた事は多々あったものの、このような絶望に染った表情を、矢琶羽は知らなかった。

何がそうさせているのか、矢琶羽はその分からない正体に、次第に怒りの矛先を向ける。


「何がお前をそうも泣かせた」


そうだ、Aを泣かせるのは

自分だけで充分だと言うのに。


「………」


しかしAは、未だ何も答えようとはしない。

目も合わせてはくれない。

少し遠くで聞こえる賑やかな声、楽しそうな音とは対照的に

こちらは悲しみに満ち満ちている

矢琶羽はとうとうAの反応の無さに耐えきれなくなり、その頬を優しく撫でた

Aの生暖かい涙が、矢琶羽の手に落ち、輪郭をなぞる。


「…A、お前が泣いておる理由は、儂に言えぬような事か?」

「……」


Aの頭が少しだけ、ぴくりと動いた


「……如何なる形であろうと、お前と祭りに来れたことを嬉しく思う。

…教えてはくれぬか、お前が悲しんでおる理由を」


ここまで矢琶羽がAの気持ちに寄り添おうとしたのは、初めての事だった。

それも、Aのことを想っての事。

Aはその想いに応えるべく、矢琶羽の顔を、ゆっくりと見た


「や、はば……わたし…っ」


彼は橙色の瞳を逸らさない。


「わたしね…ッ…」


刹那、大きな歓声が遠くで上がる


「…今日の深夜、都会に…」


その続きは、何となく嫌な予感がした


「引っ越すの…」


そんなAの言葉を、大きな花火の音が打ち消した。

遠くへ行って、しまえばいい→←盆祭り



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設定タグ:矢琶羽 , 矢印鬼 , 鬼滅の刃   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:aaa | 作成日時:2022年8月31日 10時

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