98話目 ページ8
《......彼の言ったとおり、現在ボーダーでは連れ去られた人間の奪還計画を進めている。すでに無人機での渡航･往還試験は成功した》
「......これで決定だな。次の遠征は公開遠征だ」
「みたいですね......」
『うわ......頑張って』
「は？なんでだよ、おまえも行くだろ」
『......は？私が？なんで？』
「なんでって、普通に行くことになるだろ」
『だって私、遠征行ったことないし』
「公開遠征だろ？ちょうど謎のA級隊員って言われてるおまえを公開するチャンスじゃん」
『......えー......』
ボーダーの正隊員は名前が公開されている。
その中にもちろん私の名前もあるのだが、どこの隊にも所属していないのにA級ということで、ボーダー内外でも謎のA級とか言われたりするのだ。
別に私はそれでもいいのだが、主に根付さんとかがよく思ってないのかもしれない。
もう一度テレビに目を向けると記者が32人を助けるために犠牲が出るのでは、と言っていた。
すると、城戸さんはまったく表情を変えずに口を開いた。
《......そうか、きみたちはこの場合、「将来を見越してたかが32人は見捨てるべき」という意見だったな》
すると、記者は言葉を詰まらせる。
「おまえ城戸さんのこういうとこが好きなんだろ？」
太刀川さんが私の方を向かずに聞いてくる。
私は一瞬、目を見開いた。
『.........まさか。これ見てると城戸さんも記者もやってること変わんないよ』
「まあなー、一見城戸さんいい事言ってるみたいだけど」
出水がそう言って頷く。
結局、大人は誰でもこうなのかもしれない、と思う。
でもやっぱり、三雲くんのお母さんみたいな人も少なからずいる訳で。
三雲くんのお母さんから見たら記者も“城戸司令”も変わらないんだろう。
ただ、私の中での城戸さんと記者の違うところは。
―――白鳥A。おまえのボーダー入隊を正式に決定する。
あの時の城戸さんの声を思い出す。
私の居場所をどんな形であれ、作ってくれたこと。
そして、生きる意味を作ってくれたこと。
城戸さんがどんな人であっても、私の恩人であることに変わりはなく。
逆らうことを許さない、絶対的な私の“司令官”なのにも、変わりはない。
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天(プロフ) - 何も言わずに旋空弧月さん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです。ちょうど一話更新したのでもしよかったらぜひ！これからも低速ではありますが更新していきたいと思うのでよろしくお願いします！ (2021年5月27日 22時) (
レス) id: b90335b0cc (このIDを非表示/違反報告)
何も言わずに旋空弧月 - ストーリーに惹き込まれ一気読みしました。大好きです。作者様の都合もあると思うので気長に更新を待ってようと思います。 (2021年5月27日 20時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
Yu-grena(プロフ) - 天さん» いえいえ！作者様にも事情がありますし、こうしてまた更新します！と言う言葉を見て、帰ってきたー！と嬉しかったです！はい！こちらこそ、これからも宜しくお願い致します！ (2021年4月11日 12時) (レス) id: 5ec0d29db1 (このIDを非表示/違反報告)
天(プロフ) - Yu-grenaさん» コメントありがとうございます！本当ですか……長い間更新が止まっていて申し訳ないです……すごくうれしいです！これからもよければよろしくお願いします！！ (2021年4月11日 6時) (レス) id: b90335b0cc (このIDを非表示/違反報告)
Yu-grena(プロフ) - 初コメ失礼します！天様のワートリ小説(三輪くん)のお話、一から読んでて…大好きです！これからも無理せず、お体に気をつけて頑張ってください！応援してます！ (2021年4月11日 0時) (レス) id: 5ec0d29db1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天（元れたす。） x他1人 | 作成日時：2020年1月2日 14時
