【WT】また晴れる日が来たら【三輪秀次】

35話目 ページ38

Aside


『ん......』



ぱち、と目を開ける。


起き上がると体のあちこちが痛い。


それもそうだ、床で寝てたのだから。


風邪をひかなかっただけ良かったかな...とつぶやき、左を見る。


すると、たくさんのビールの缶とその横で爆睡している太刀川さんが。







私は太刀川さんの部屋に行き、布団を1枚取ってきて太刀川さんの上に被せる。



そして私は着替えて準備をし、小さな声で行ってきます、と言って外に出る。









·









朝と言うこともあり、本当に寒い。


しかし寒さとは裏腹に空は柔らかい水色で、太陽も明るく輝いている。









でも、私は天気が晴れだろうが雨だろうが、あの日の雨の音が消えることは無い。







あの日の雨の...音も、冷たさも、血の匂いが混じった匂いも、両親の冷たさも。






全て今その場にいるかのように思い出す。









まだ、泣けたらよかった。





ただ、悲しみを外に出すかのように泣けたなら。





この雨の音も洗い流せたかもしれない。









親が死んだ時に泣けないなんて。




なんて、親不孝なんだろう。












父さん、母さん、








ごめん、ありがとう、





そんな言葉も出てこなくて。









何も出来ずにただその場に残ったから。







音や匂いや感触がずっと。









楽しかった記憶、頑張った記憶、嬉しかった記憶、辛かった記憶。









その全てを消し去り、塗り替えたあの日の記憶は、今も＿＿＿＿＿＿＿

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