23話 幸せな瞬間 ページ24
「…………！？」
まさか自分が告白されるなんて夢にも思っていなかったオットーは、驚きのあまり十数秒黙り込んでしまう。
それを悪い意味に捉えてしまったのか、Aは大きな瞳を不安げに揺らし始めた。
我に返ったオットーは、とりあえず何か言うべきかと思い、急いで口を開く。
「あの、僕の事をそんな風に思ってくれて、嬉しい、というか、えっと……」
(こういう時は、何て言うのが正解なんですか！？これじゃあまるで、今から振るみたいな流れじゃないですか！)
「……ゆっくりでいいから、オットーの気持ちをちゃんと聞かせてほしい」
オットーが焦って言葉に詰まっていると、Aは真剣な表情でそう訴えてきた。
彼はひとつ深呼吸を挟んだ後、続きの言葉を口にする。
「僕も、Aさんのことが好きです。先にあなたに言わせてしまってすみません」
「……っ、ぅえ、ううっ」
急に泣き出すAに驚き、オットーは理由を尋ねる。
「ううっ、オットーに想ってもらえててぇ、嬉しいんだよぉ」
「僕も、Aさんに好きになってもらえてて、すごく嬉しいです」
二人はしばらく、お互いの存在を確認するように、ただ抱きしめ合っていた。
◇◇◇
「えっ、オットーさんとA姉様、やっと付き合うことになったの！？」
ペトラの大声は屋敷中に響き、それを聞きつけた住人たちは、瞬く間にオットーとAの周りに群がった。
「長かったぜ……」
「この期に及んでAに言わせるなんて、お前はやっぱりヘタレなのよ」
「わたくし、本当に感動しておりますわ……！」
二人は他にも、祝福であるのか判断の難しいコメントを多数受け取る。
「応援してくれてたみんなのおかげ。ありがとう！」
この瞬間、Aとオットーは、きっと世界で一番幸せだっただろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あくる(プロフ) - そんな事を言って頂けて、感謝感激です！ またちまちまと番外編を書こうと思っていますので、よろしくお願いします！ (11月1日 18時) (
レス) @page28 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
作者くん！(プロフ) - 神ですね、この作品 (11月1日 17時) (レス) @page28 id: 36c939bd27 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あくる | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/03240906ak1/
作成日時：2023年7月2日 1時
