20話 存外呆気ないもので ページ21
「あ、え、えっと、私は……あ”っ！？」
勇気を振り絞って想いを告げたオットーだったが、取り込んだ魔女因子はAを蝕み続け、ついに彼女は自我を手放した。
最悪のタイミングで。
「クソっ……」
目に涙を溜めて悪態をつくオットーは、魔女因子の侵蝕に耐えるAをそっと腕に抱く。
が、それも長くは続かない。
Aがオットーに対して攻撃を始めたからだ。
『水属性』は、本来人を癒やす魔力属性だ。
しかし、使い方によっては、対象の生物の体内のマナを暴走させ、死に至らしめることも不可能ではない。
また、水属性の魔力適性があれば、氷魔法も使用可能だ。
大罪司教の席についたAは、魔力、身体能力も底上げされている。
『青』の称号を持つ、フェリックス・アーガイルには及ばないが、身体能力も底上げされていることを考慮すれば、総合的な能力はAの方が上。
つまり、圧倒的不利。
「Aさん！戻ってきてくださいよ！」
彼の声は届かず、氷の柱を生み出しては落とすという単純な攻撃が繰り返されるのみだ。
単純ではあるが、当たればタダでは済まない。
当たる＝死 と考えて差し支えない。
当たってはいけないというプレッシャーと、Aを助けなければというプレッシャー。
その両方がオットーの体力をじわじわと削ぎ、彼は真の限界を迎えようとしていた。
「なんでっ、……」
オットーが己の現状に絶望し、諦めかけていた矢先。
救世主は現れた。
「オットー、捜索部隊のご到着だぜ！」
「……！遅いですよナツキさん」
半泣き状態であることを悟られたくないのか、オットーはぶつくさと文句を垂れる。
だが、それに気付いてもわざわざ指摘するほどスバルも腐ってはいない。
スバルが黙って手ぬぐいを渡していると、リカードの野太い声が響いた。
「あんちゃん、終わったぞ〜」
「は？」
呆気なく終わった戦いは、オットーにとって拍子抜けどころの話ではなかった。
無論、それはスバル率いる捜索部隊の全員に当てはまることであったが。
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あくる(プロフ) - そんな事を言って頂けて、感謝感激です！ またちまちまと番外編を書こうと思っていますので、よろしくお願いします！ (11月1日 18時) (
レス) @page28 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
作者くん！(プロフ) - 神ですね、この作品 (11月1日 17時) (レス) @page28 id: 36c939bd27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あくる | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/03240906ak1/
作成日時：2023年7月2日 1時
