2話 タメ口、そして、呼び捨て ページ3
「それはさておき、改めて、初めまして、オットー様。私のことは、Aとお呼びください」
無駄のない、洗練された完璧なお辞儀、そして、心なしか棘のある口調。
ここにオットーは、彼女の孤独を感じた、気がした。
本当に『なんとなく』だが。
「そこはさておいてほしくないんですがねえ！？……まあ別に良いですよ。Aさん、これからよろしくお願いします。……ところで、その様付け、やめたりできません？」
それはさておき、と自分の主張をあっさりと流されてしまったオットーは、本日3回目の悲鳴を上げ
る。
が、気を取り直して、何とかAとのコミュニケーションを図る。
「こちらこそ、よろしくお願い致します。……それでは、どのようにお呼びすればよろしいですか？」
様付けが慣れていますので、などと言われるのを想像していたオットーは、あまりの素直さに、意表
を突かれた。
さっきまでの生意気はどこに言ったのだろうかと、少し不思議に思いながら、オットーは質問に答える。
「特に強制するつもりはありませんが、オットーと呼んでもらって構いません。それと、それが楽なら別ですが、無理して敬語で話さなくてもいいですよ」
「ぇ？」
驚いた表情の彼女は、恐る恐る、その行動の理由を尋ねる。
「……どうして、私と距離を詰めようとしてくれるんですか。……こんなに無愛想で、1ミリも可愛げがない、出来損ないのメイドなんかと」
苦しげに問いかけるA。迷いながらも、優しく答えるオットー。
「……そうですねえ、僕もよくわからないんですが……。Aさんがなんとなく、寂しそうに見えたから、でしょうかねえ……。確かにAさんは、愛想はないですけど、根は優しい人だと。そう僕は思ってます。」
その言葉で、Aは、何だかちょっぴり、温かい、優しい気持ちになって。
でも、それに気付かれたくなくて。
わざとそっけなく、「あっそ」と返した。
「部屋に案内するから、早く来て、オットー。置いていくよ」
二人の心の距離が、ほんの少しだけ縮まった出来事だった。
3話 100メートル左にはトイレ、50センチ右にはメイド→←1話 相性・第一印象、お互い、共に最悪。のち……
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あくる(プロフ) - そんな事を言って頂けて、感謝感激です！ またちまちまと番外編を書こうと思っていますので、よろしくお願いします！ (11月1日 18時) (
レス) @page28 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
作者くん！(プロフ) - 神ですね、この作品 (11月1日 17時) (レス) @page28 id: 36c939bd27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あくる | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/03240906ak1/
作成日時：2023年7月2日 1時
