17話 行方不明のメイド様 ページ18
「だから！僕が探しに行くって言ってるんですよ！ナツキさんは口出ししないでください！」
声を荒げるオットーの表情は切羽詰まっていた。
だが、無理はない。
3日もAが行方不明なのだ。
それが大切に想っている相手なら尚更。
「だーかーら！お前一人じゃ危ないっつってんだよ！魔女教が関わってるかもしれねえんだぞ！」
スバルの言う通り、今回のA行方不明について、魔女教が関わっている可能性が大なのだ。
詳しいことは分からないが、スバルが言うにはそうらしい。
「だったら、余計に早く見つけて助けないとだめじゃないですか！」
オットーの声は徐々に震え始め、目には涙が溜まっている。
「このまま突っ込んで、魔女教の奴らにでも遭遇してみろ！オットーお前、100パー死ぬぞ！？他の陣営にも協力を要請したんだ。明日の昼には到着する。せめて捜索部隊が結成されるまで待てよ！」
「嫌です。やっぱり行きます。止めても無駄ですからね」
荷物を背負ったオットーは、スバルの静止も聞かず、屋敷を出ようとする。
頑ななオットーに、さすがのスバルも折れたのか、もう止めることはしない。
「……オットー、これ持ってけよ」
そう言ってスバルが投げて寄越したのは、いつぞやの屋敷襲撃のときに使用した、『魔獣除け』の結晶石だ。
「それがありゃ、少なくともデカい犬にガブられることはねえだろ。気をつけろよ、オットー。俺もヴィルヘルムさんたちと合流したら、すぐに探す。お前はAの痕跡がないか調べといてくれ」
「……わかりました。では」
「おう！――今度こそ死ぬなよ」
この言葉がオットーの耳に届くことはなかった。
◇◇◇
オットーが屋敷を出て、5時間以上が経過した。
辺りは段々と夜の色に染まってきている。
「はあ、探すとはいっても、手がかりなさすぎませんかねえ」
ぶつぶつと愚痴をこぼすオットーだが、屋敷を出てからずっと加護を使用しているため、そろそろ体力の限界が近づいていた。
「悔しいけど、今日はここまでかな。……ん？」
やけに土が踏み荒らされた場所がある。
気になって近づいてみると、その側には髪飾りが落ちていた。
「これは……！！Aさんの！」
あれほど探しても何一つ見つからなかった手がかりが見つかったが、それほど楽観視できるような状況ではないことも分かった。
彼女が何者かに襲われた恐れがある。
そしてオットーは、もう一つの違和感に気付く。
「いくら何でも、静か過ぎる……！」
18話 そこに温もりは残らない ※原作よりかなり軽めの流血表現あり→←16話 夕日を透かすゴンドラの中で〜パックの発魔期 4〜
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あくる(プロフ) - そんな事を言って頂けて、感謝感激です！ またちまちまと番外編を書こうと思っていますので、よろしくお願いします！ (11月1日 18時) (
レス) @page28 id: 64a42a1344 (このIDを非表示/違反報告)
作者くん！(プロフ) - 神ですね、この作品 (11月1日 17時) (レス) @page28 id: 36c939bd27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あくる | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/03240906ak1/
作成日時：2023年7月2日 1時
