マフィアを振り回した少女は中也と結婚します

宙也誕生秘話2 ページ30

｢中也、すまなかった｣
｢何がだ｣
手術室の前の椅子に2人は腰掛けていた
｢深白を救えなかったことさ｣
深刻な思いつめた顔をしていた
｢...お前らしくもねぇ、
お前はあいつの兄貴で俺の義理の兄なんだろ
ならいつも通りでいろよ
深白が帰ってきた時不安に思われるぞ｣
中也の言葉に素直に頷いた

｢深白は言ってたんだ｣

『初めての子が産まれたらお兄ちゃんに最初に抱かせてあげるの』
｢はぁ？普通俺が最初だろう｣
『お兄ちゃんはずっと私の幸福を願ってくれた
だから幸せのお裾分け
中也喧嘩しないでよそんな時まで』
｢はいはい、しねぇよ｣

｢ってな｣

太宰は目を見開いていた
少し目が潤んでいた
｢何泣いてるんだ｣
｢泣いてない｣

｢まあだから願っといてやれ
あいつらが帰ってくるのを｣
｢...分かった｣

私には深白に何も言わず孤独を感じさせてしまった時がある
何年間も深白は私を恨み
その恨みでなんとか生きてきた
けれど心の底にはもう一度会いたい
仲直りしたいそんな気持ちでいっぱいだった
久しぶりにあった深白は自分を傷つけ憎悪の塊になっていた
昔の笑顔の深白とは比べ物にならないようなほどに恐ろしいものになっていた
何度謝ったことか
何度自分の過ちを恨んだことか
それでも過去はかえられない
わだかまりがなくなり、私と会えるようになって深白は昔の笑顔を取り戻していった
そんな深白にまだ笑顔でいてほしい
幸せにならないといけないんだ


深白頑張れ

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