マフィアを振り回した少女は中也と結婚します

宙也誕生秘話 ページ29

バチバチッ
『いつまで続くのあの喧嘩』
中也が探偵社に来てからずっとあの調子だ
宙也の口周りについていた粉を拭いて
眠っている美桜にタオルケットをかけた

｢深白、どこか悪い所はないかい？｣
『今はありませんよ』
チェッと残念そうにし、深白の額に手を当てた

｢大丈夫そうだね｣
『その説はお世話になりました』
宙也を産んだ時、助産師として傍に居てくれたのは与謝野だった

五年前
｢深白、病院だ大丈夫だからな｣
深白は敵対する者に階段から突き落とされ緊急搬送されたのだ
連絡をうけ駆けつけた中也より先に探偵社がいた
落ちる場面を目撃し救急車を呼んだのは太宰であった

｢緊急帝王切開を行います｣
深白が手術室に運ばれると看護師の1人が出てきて中也に告げた
｢深白さんはまだ未成年で身体が充分に出来ていません
...最悪の事態も予想していてください｣
｢...深白を、お願いします｣
中也は深く頭をさげた

｢深白、聞こえるかい？｣
『...与謝野さん？』
手術室には医師として与謝野がいた
深白にこれからの手術を説明していく
｢今から帝王切開で赤ちゃんを取り出す
深白は未成年で身体も出来ていない
最悪母子共に危険な状況に陥るかもしれない｣
『与謝野さん』
深白は全身麻酔で意識が薄くなっていきながらもしっかりと自分の言葉をいった
『...この子だけでも助けてください』
｢...ッこの子だけじゃない、深白のことも救うさ
だから頑張っておくれよ｣
はい、と小さな声で返事をし深白は眠った

｢緊急帝王切開を行います
よろしくお願いします｣
医師がメスを手にし手術が始まった

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