マフィアを振り回した少女は中也と結婚します

another 奇跡4 ページ17

勢いよく中也の仕事部屋に入ってきた深白は肩で息をしていた

｢お、おい深白どうした？｣
ただならぬ気迫に中也は驚いていた

深白は中也を少し見ると汗を拭い正座をした
中也も深白の前に正座した

『話がある』
ギュッと拳を握った
その後深い深呼吸をした後口を開いてまた閉じた

中也は黙って話してくれるのをまっていた
5度目の深呼吸を終えた後深白は話し始めた

『...大事な話があるの』
聞いてくれる？という質問の意味があった
中也は頷きそれを見た深白はもう一度口を開いた

『今日の夕方、紅葉姐さんと病院に行ったんだ』
｢どこか悪いのか？｣
『違うよ』
深白は首を振った

『...中也、』
深白は自身の両手をお腹に触れた
小さな子供のいるお腹に



『ここにね...2人の子供がいる』




中也は驚いた顔をして深白の目をそらした
深白は受け入れてくれなかったと思い涙が出そうになった


『..産もうとおもう』
自分の意思だけはちゃんと伝える

例え中也が駄目だと言っても産もうと思っていた
金銭的にも生活的にも深白1人でなんとか育てる事が出来る
父親がいないのはこの子にとって悲しい事かも知れない
けれどここで消してしまうのは自分を選んでくれたこの子に面目が立たない

何より血のつながった家族が増えるのが嬉しかったから
産もうと思っていた

気持ちを伝えようと口を開いた
だがそこから声が出される事はなかった
その代わりに身体に強い衝撃が伝わっていた

その衝撃の正体を理解するまで数秒かかった
正体は中也が深白を抱きしめていた
突然の事で頭が回らず深白は固まっていた

｢深白ありがとう！！｣
中也はまた強く深白を抱きしめた
そこで深白は状況を判断し始めた

『え...』
｢俺の子供がここにいるんだよな｣
深白のお腹に触れて嬉しそうに笑った

『中也...』
その予想をしていなかった反応に深白は頭の中を整理して聞きたい事を聞いた

『中也...この子の父親になってくれるの？』
｢...？なってくれるって俺が父親なんだろ？｣
当然のように父親になると言ってくれた中也に喜びを感じ目元が熱くなるのに気づいた

｢深白...如何して泣いているんだ？｣
安心して涙が出ていた
ホッとしたのだ
受け入れてくれないと思っていたから

『嬉しくて涙が出てるの...
中也、この子の...』
中也がお腹に触れている手に触れた

『お父さんになってくれますか？』
返事はもちろん

｢あぁ、父親にさせてくれ｣
また涙が流れた

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