マフィアを振り回した少女は中也と結婚します

挨拶の言葉 ページ11

次は披露宴に移動し、深白はお色直しをしていた
純白のドレスから青のドレスへと変わっていた

｢では新婦による挨拶の言葉です｣
深白はお色直しの時に伝えられていたが原稿はなかった
マイクの前に立った

『この度は結婚式をあげていただきありがとうございます』
深白はエリスのそばに座っている森を見た

『私は養父であるリンタロウが嫌いでした』
ズーンとしたオーラが漂った
『けど私に厳しくしてくれたのは私のためであるのを知りました
リンタロウここまで育ててくれてありがとう』
滅多に見せない森の涙に一同はどよめいた


深白は少し微笑んで芥川を見た
『龍は私が幼い時からそばにいてくれて、私が不安な時いつもそばにいてくれた

ずっと大切なお兄ちゃんだと思ってるよ』
芥川は深白に
｢僕も深白は大切な妹だ｣
と言った
その言葉は深白に届いたらしい
深白は頭を下げた


そして兄である太宰の方を見た
『昔、私は治の事を兄だとは知りませんでした
血のつながりとか関係なく治の事が大切だった

置いていかれた時凄く悲しくて私は闇の道に入った
恨んだ事も憎んだ事もあった
すてられたと思った
私の幼い心では耐えきれなかったんだと思う

けどちゃんと話して捨てられてないって気づいた
嬉しかった
迷ってその後私を置いていったって知れてよかった

治が私のお兄ちゃんでよかった

私のお兄ちゃんでありがとう』
太宰は優しく微笑み
｢こちらこそありがとう｣と少し涙を溜めていた


『じゃあ最後に中也』
深白は後ろを振り返り、中也の方を見た
中也は自分にくるとは思っていなかったらしく驚いた顔をしていた

『中也は遊びの友達ぐらいにしか思っていませんでした
けどそれが変わったのは中也の部下になった頃だった

血だらけの私を拒否せず受け止めてくれた
心配してくれた
本当で怒ってくれた

ある日から中也を恋愛対象で見るようになっていた
好きだって言ってくれて嬉しかった
抱きしめてくれて嬉しかった
大切に思ってくれてて嬉しかった

そんな人後にも先にももういない

だから私と結婚してくれてありがとう』

中也は手で目元を隠していた
けれど時々こぼれる嗚咽から泣いていることが分かった
深白は中也に近づき手を握った

『中也、私を好きになってくれてありがとう』
中也はさらに涙を流していった

深白は来客の方を向き
『全ての人に感謝して挨拶の言葉とさせて頂きます』

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