白いアイリス SS 【 江口拓也 】

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ゆるやかなカーブをかけてふわっと巻かれている彼女の髪の毛を見て、いつもと違うなという気はしてた。
普段は仕事帰りが多いため、髪の毛はまとめていたりサラッとしたストレートだったり。
ふわふわさせている彼女は少女のように可憐で、何だか守りたくなる。


「かわいい」


と呟いてから、しまった。と思った。

ついこの間、可愛いってすぐ言う人は軽いだとか言っていて、完全軽い男認定されたと自分で飲み込んだのだが。また言ってしまった。仕方ない。漏れ出たのだから。


けれどカアッと顔を赤くした彼女を見て、これまた意味もなく心臓を鷲掴みにされてしまったのは紛れもない事実。






ビールもそろそろ終わりにして、次のお酒頼もうか…という気になり「日本酒飲む？」と彼女に問いかけた。三種の日本酒飲み比べセットあるよ。と言うと、飲み比べという言葉に彼女の目が輝き始めた。

二人で飲み合いながら、これは甘い、とかサッパリしてる、とか感想を言い飲み比べるのがとても楽しい。そうして自分の好みの日本酒を覚えて帰るまでがワンセットだ。


会話をしてる中で、アハハハハと笑いながら少し身体を傾けた時に彼女の腕にぶつかった。それだけで彼女は照れるから、飲みながらわざと反対の手をこつんと当ててみたりもした。
近くで目が合うとすぐに逸らされてしまったり、向こうが意識しすぎるもんだから何故かこちらも勝手にドクドクと心臓がうるさい音を立てた。




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