奪われたモノ ページ6
大きなあくびをして、涙目を見せた。
「…そんなに眠いなら早く帰れよ」
「なんとも言えぬ辛辣さ……」
ガクッと肩を落とし、トボトボと玄関へ向かう。
結局、大した害はなく、安心した。
「………Aちゃん」
ん?なんだ? まだなんか理由つけてここにいる気か?
キレ気味に振り返り、睨みつけようとした。
……………………………そのとき。
私はソファーに追い詰められ、初めてのファーストキスを奪われた。
……あ。
ただ何もできず、永遠のような時間を待つしかなかった。
「……え…あっ……」
顔が離れ、天宮くんは自分の前髪をかきあげた。
すると、恥ずかしそうにうつむき、顔を赤らめた。
その顔を見て、自分も恥ずかしくなる。
しばらく静寂が続き、私達が我を見つけたのは最悪のタイミングだった。
「A〜、ただいまぁー」
そう、お母さんが帰ってきたときだ。
「あ、これ…、まずいね」
「はあぁ?!私は何も知らないんだから!あんたが弁解してよね!」
リビングの扉が開き、お母さんが現れた。
「……あ、ここここんにちは…!」
ガクガク緊張して「こ」を言いまくった天宮くん。
アホなの?
「あら?こんにちは……。えー…っと?」
「あああぁぁ!違うんだよ!お母様!これは、このスケb…」
「あ、僕はAちゃんの友達です。別に害とかそんなやらしいことは一切合切しないので安心して僕にAちゃんを下さい」
……は?
は?は?は?
はあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!!
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作者名:にゃんこぱす | 作成日時:2020年7月31日 20時